アルティウスリンクが描く印刷業務のデジタル革命とは
アルティウスリンクは、障がい者雇用の現場を背景に、印刷業務のデジタル化を推進しています。デジタルトランスフォーメーション(DX)が進化する中、同社はどのように業務効率化の取り組みを進めているのでしょうか。その全貌をレポートします。
取り組みの背景と課題
「事務サポートユニット」という専門部署が、社内の様々な事務業務を担っているアルティウスリンク。このユニットは2016年の設立以来、障がい者雇用の枠を超えて、メンバーが活躍できる場作りや職場定着をサポートする取り組みを実施してきました。しかし、業務効率化は今回が初の試みとなるのです。
印刷業務においては、注文者の利便性を向上させる必要がありました。従来のExcelを使用した注文書では、記入項目が不明瞭で誤入力が多発し、このために確認や修正のやり取りが頻繁に行われ、業務の手間を増大させていました。これを踏まえ、メンバーからの提案で「Power Automate」を活用した新たな仕組みの構築が始まりました。これは、Microsoft 365に含まれ、ノーコードで業務の自動化が可能なツールです。
業務効率化への挑戦
この新たな取り組みでは、チームメンバーが主体的に関与することが重視されています。経験やスキルのバリエーションを活かし、目的を共有することで、全メンバーが自発的に業務に取り組める環境を整えました。
2025年度の目標は「DX化への参画」。このため、印刷チームは新しい取り組みの意義をメンバー間で共有し、業務の進め方に対する理解を深めていきました。発案者のHさんが中心となり、ITツールに詳しいNさんのサポートを受けながら、運用方法の構築や新しい注文書の制作に取り組みました。
研修の実施と成果
約3か月の準備期間を経て、チーム全員が参加する研修が開催されました。この研修の目的は「Power Automateを知り、実際に体験すること」です。Hさんが講師を務め、Nさんがサポート役として参加者の理解を助けました。
研修ではPower Automateの基礎を説明し、実務に即したフローを作成。エラーが発生する場面もありましたが、Nさんの迅速なフォローで全員が工程をクリアしていきました。フローが正常に機能した際には、自ずと拍手が沸き起こり、研修は成功に終わりました。参加者への激励の言葉も忘れず、チームとしての結束力が強まりました。
新運用のスタートと未来への展望
8月からは、Power Automateを用いた新しい運用が本格的に開始。最初は注文数が多い商品から段階的に導入が進められ、利用者から「入力が簡単になった」「納品が早くなった」との手応えが寄せられています。現在は新運用の対象商品の拡大を目指して計画が進行中です。
印刷業務以外の分野でも業務効率化の波を広げていく意向があり、事務サポートユニット全体の取り組みは、まだ始まったばかりです。メンバーの主体的な参加を促進しながら、今後もDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の実現に向けて、さらなる発展を目指します。
終わりに
アルティウスリンクの企画が示すように、障がい者雇用が新たなビジネスモデルの一翼を担うことに大きな期待が寄せられています。これからも、印刷業務にとどまらず、様々な業務に内在する課題を解決し、より良い環境作りが続いていくことを期待しています。