日本の物流革命が始まる!
2025年6月、インド・オディシャ州在住のトラックドライバー2名が日本の物流企業「マルイ運輸株式会社」に正社員として特定技能制度に基づいて採用された。この採用は、海外在住のインド人が日本の運送業界で初めて正式に雇用された事例であり、国際的な人材交流の新たな一歩を示している。
この取り組みは、日本の物流業界が抱える人手不足という大きな課題を解決するための革新的なモデルとして、広く注目を集めている。採用を発表したNAVIS Human Resource Private Limited(NAVIS HR)は、インドのバンガロールに本社を置く企業で、特に日本語教育や技能育成に特化した先進的な人材開発機関だ。
NAVIS HRでは、トラックドライバーとしてのスキルを持つ人材を育てるため、現地の教育機関と連携を行い、特に運転技能や日本語を中心とした訓練を行っている。採用された2名は、オディシャ州政府とAshok Leylandが共同設立したHMV教習機関で大型車両の運転技術と安全教育を修了し、さらにNAVIS HRによる日本語&文化研修を受けた後、日本語の特定技能評価試験に合格。これにより、日本の物流業界で即戦力として期待される人材へと成長した。
オディシャ州の魅力
オディシャ州はインド東部に位置し、約4,100万人の人口を抱える重要な地域である。州都ブバネーシュワルはスマートシティとして注目されており、高い教育水準と交通インフラが整っていることから、優秀な人材の育成に適した環境が整っている。オディシャ州が育成した若手ドライバーは、自国の伝統と文化を持ち、事故ゼロの安全運転を目指して交通安全教育を受けている。
NAVIS HRの厳格な育成プログラム
NAVIS HRでは「日本で働きたい」という気持ちだけでなく、信頼される人材を育成するために厳しい選考基準を設けている。多段階な選抜・教育体制は以下の要素を含んでいる。
- - 日本語習得力: 独自のアセスメントで、習得速度や発音、読解力を評価。
- - 人柄・誠実性: 面接や行動観察に基づき、責任感・協調性を重視。
- - 文化適応力: 日本の時間感覚や報連相に対する適応度を確認。
このように、言語能力だけでなく、文化やビジネスマナーに対する理解を深めることが、彼らの成功の鍵となっている。
インド人ドライバーの優位性
彼らが日本の道路で即戦力となる理由は多岐にわたる。
1.
右ハンドル文化: インドは日本と同じ左側通行・右ハンドルであり、運転感覚が似ている。
2.
英語力の高さ: 業務指示や安全マニュアルの理解がスムーズ。
3.
飲酒習慣の少なさ: 宗教的背景から飲酒率が低く、安全運転への意識が高い。
4.
多様な道路経験: 都市部から農村部まで幅広い運転経験を持ち、応用力に優れる。
5.
勤勉さと責任感: 家族を支えるために誠実に働く姿勢が根付いている。
未来への展望
この取り組みの次のステップとして、NAVIS HRは2024年7月にオディシャ州政府との間で、さらに130名のドライバーを日本に派遣するプロジェクトを進行中。このような国際的な人材交流が今後も続くことで、日本の物流業界における信頼モデルが形成されることが期待されている。
この新たな挑戦は、日本の企業にとっても他国の優秀な人材と協働する機会を増やし、グローバル化が進行する中で新しい風を吹き込むことだろう。NAVIS HRの取り組みは、今後の国際人材交流のモデルケースとして、他の業界にも広がることが期待される。