大東建託、CO₂排出量削減に向けたLCA算定強化の取り組み
大東建託株式会社は、2023年10月よりCO₂排出量算定を強化し、この分野での持続可能な建築の実現に向けた大きな一歩を踏み出します。建築物分野は国内のCO₂排出量の約40%を占めており、エコ建材の導入などが求められている中、今後の新しい基準が業界全体での共通課題となることが予想されているのです。
現状と課題
建築物からのCO₂排出量削減が重要視される中、大東建託は2014年からLCA(ライフサイクルアセスメント)の算定を始め、木造アパートやCLT造マンション、RC造マンションといったモデルを基にCO₂の算定を実施してきました。しかし、日本国内におけるLCAに関する標準化データベースや評価基準の不統一が、業界全体での透明性や評価結果の比較を難しくしています。これにより、持続可能な建築に向けた取り組みが遅れているのが現状です。
新たな取り組みと「One Click LCA」
今回、大東建託は「One Click LCA」という国際基準に基づいたLCA算定ソフトウェアを導入し、10月より本格稼働を始めます。この革新的なソフトウェアは、建物の部位や使用資材ごとのCO₂排出量をグラフで視覚化し、環境負荷の高い部分や削減可能な領域を明確化することが可能です。
従来のモデルから、主要な14商品に基づく16種類の基準モデルへと拡大し、大東建託が年間に供給する建物の約90%をカバーします。これにより、算定作業がさらに効率化され、精緻化されたCO₂排出量の評価が行えるようになります。また、木材による炭素固定量も自動で評価されるため、木造建築物の環境的な価値を定量的に示すことが期待されています。
減少見込む領域と今後の展望
特に注目すべきは、CO₂排出量の多くを占めるスコープ3、特に原材料の調達に関わる「カテゴリー1」において、算定が正確にできることで、サプライチェーン全体での排出量削減が目指せることです。今後は、この精緻化されたLCA算定を通じて、設計や資材選定にもCO₂排出量の低減を意識し、環境負荷の少ない資材・設備を積極的に採用していく方針です。
大東建託は、環境に優しい建築物の設計を進め、その資材調達から施工、解体に至る全ての過程でCO₂排出量の削減に貢献することを目指しています。持続可能な社会の実現には、企業の役割がますます重要になってきます。大東建託の新たな取り組みが、他の企業にとっても良い刺激となり、建築業界全体での環境への配慮が広まることが期待されます。