新潟青陵高校が挑むAIによる対話力育成プログラムの新展開
近年、リアルな対話に対する苦手意識を抱えるZ世代が増えております。彼らに向けた教育の在り方として、AI技術を活用した新しいアプローチが注目されています。コグニティ株式会社と新潟青陵高校の共同プロジェクトは、その一例です。ここでは、AIを駆使して生徒の「話し合い力」を育成する取り組みについてご紹介します。
プロジェクト背景
コグニティ社が2024年に行った調査によると、Z世代の多くは発言する際、高いハードルを感じています。特に「準備していないことには発言しない」といった傾向が見られ、非対面でのコミュニケーションに慣れた彼らにとって、突然の対話には心理的障壁があることが課題となっています。
このような現状を打破するため、新潟青陵高校は2026年度から開設予定の通信制課程において、AIを用いた「対話の型」を学ぶプログラムを実施することにしました。これにより、生徒は安心して発言できる環境を整えることを目指しています。
プログラムの内容
2025年1月、教師と生徒間でのディスカッション4件をAIで分析しました。その結果、「良いディスカッション」にはどのような特徴があるのかが明らかにされました。こうしたデータをもとに、個々の生徒にフィードバックを行うレポート「COG-DISCUSS」が開発されました。このレポートは、生徒のファシリテーションスキルや議論の進行方法についてのポイントを数値化し、具体的な改善点を示します。
特に、教師が如何に良い質問を投げかけるかや、話題の発散についての詳細な分析が盛り込まれています。これにより、生徒は自分たちの議論がどう構成されているかを把握し、効果的な対話ができるようになるのです。
ディスカッションの改善成果
3月には、開発されたレポートを用いた握手が生徒に行われました。特にレクチャー前後でのスキル比較において、目に見える変化がありました。分析によると、メンバーの発言量は平均で83%増加し、話題の発散も減少しました。これにより、質の高い議論が促進されたことが数値として証明されました。
前回のディスカッションでは、発言の多くをファシリテーターが担っていたのに対し、レクチャー後は参加者一人ひとりが均等に発言するようになりました。議論の構成も、より掘り下げられたトピックが多くなり、内容の充実度が向上しました。
未来の展望
新潟青陵高校では、通信制課程が持つ特性を活かし、今後も「対話力」をはじめとしたポータブルスキルの育成に力を入れていく方針です。距離はあっても学びが繋がる環境を作り、AIによる科学的なフィードバックを通じて教育に新たな可能性をもたらすことを目指します。コグニティはこのようにして、教育現場における「伝える力」「つながる力」の育成を推進し、未来を切り拓いていく活動を継続します。
結び
AI技術を活用した新しい対話力育成プログラムの取り組みは、単なる教育手法を変えるだけでなく、これからの社会において求められるコミュニケーション能力を育むための新たなステージを開くものです。今後も数多くの現場で、このような取り組みが展開されることを期待しています。