三毛猫の遺伝子解明
2025-05-16 18:37:10

三毛猫とサビ猫の毛色決定遺伝子の発見とその意義

三毛猫とサビ猫の毛色決定遺伝子の発見とその意義



猫好きにとって、三毛猫やサビ猫の美しい毛色は特別な魅力を持っています。長年の謎であった三毛猫やサビ猫の毛色を決める遺伝子について、ついに具体的な解明が進みました。九州大学の研究チームは、三毛猫のオレンジ色の毛やサビ猫の毛色に深く関与する遺伝子を特定し、そのメカニズムを探る興味深い成果を上げました。

X染色体に存在するオレンジ遺伝子


これまで、三毛猫やサビ猫の毛色を決定する遺伝子がX染色体上に存在することは明らかでしたが、具体的な遺伝子は特定されていませんでした。今回、九州大学生体防御医学研究所の佐々木特別主幹教授を中心とする研究グループは、特に注目すべき発見をしました。彼らは、三毛猫のオレンジ色の毛を生じさせる遺伝子が「ARHGAP36」であることを突き止めたのです。この研究は、福岡市内のさまざまな毛色を持つ18匹の猫のDNAを解析することから始まりました。

ARHGAP36遺伝子の欠失がもたらす影響


研究の結果、オレンジ毛を持つ猫のX染色体内で見つけた約5,000塩基の欠失が、毛色の決定に関与していることが確認されました。特に、この欠失がARHGAP36遺伝子の発現を安定化させ、その結果として黒色のユーメラニンからオレンジ色のフェオメラニンへのメラニンの合成が切り替わるプロセスに関与していることが示唆されました。この新しい知見は、猫の毛色における遺伝のメカニズム理解を深めるものであり、科学的にも臨床的にも意義があります。

60年目の成果


今回の発見は、1961年に提唱されたX染色体のランダム不活性化が、どう毛色のパターンに影響するのかについての仮説を、約60年ぶりに具体的に証明したものとされています。長年この遺伝子の正体は不明でしたが、研究チームの努力が実を結び、三毛猫の毛色の秘密に迫る重要な一歩が踏み出されました。

今後の研究への期待


この研究成果は、米国の科学雑誌「Current Biology」に掲載され、世界中の遺伝学者から注目を集めています。今後は、この遺伝子の機能や、同じ欠失を持つ猫の遺伝的な歴史を探る研究が進行することが期待されます。特に、古代の猫のミイラや絵画を通じて、ARHGAP36遺伝子の欠失がいつ、どのようにして現れたのかを解明することで、新たな知見を得られる可能性が広がっています。

おわりに


今回の成果により、三毛猫やサビ猫の毛色の遺伝的メカニズムが解明されました。このような動物の生物学に対する理解は、私たちの周囲にいる生き物たちの魅力を一層深めることでしょう。愛猫たちの美しい毛色の背後に潜む遺伝の秘密を、今後も注視していきたいものです。


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