量子技術で変革する物流業界の配送計画「OptyLiner」の実力とは

物流業界に革新をもたらす「OptyLiner」

東京都港区に本社を構える株式会社エー・スター・クォンタムと、同じく東京都港区の伊藤忠テクノソリューションズ株式会社、そして埼玉県さいたま市のTriValue株式会社の3社は、先進的な配送ルート作成サービス「OptyLiner」を共同開発しました。このサービスは、量子コンピューティングの技術を駆使し、数理最適化を行うことで、物流業界が抱えるさまざまな課題を解決します。

OptyLinerの開発背景

近年、物流業界はドライバー不足や労働時間の制限、さらにはCO2排出量削減など、多くの課題に直面しています。特に配送計画の策定は、熟練した担当者が多くの時間をかけて行っており、効率化が求められていました。手作業による配送計画の作成は、時には3時間以上かかることもあります。そこで「OptyLiner」は、これらの問題に対するソリューションを提供するために作られました。

効率的な配送ルート作成

「OptyLiner」は、車両の積載量や台数、ドライバーの労働時間といった多様な条件をもとに、最適な配送ルートを迅速に算出します。デモンストレーションでは、このソフトウェアがわずか5秒で配送計画を完成させることができることが確認されました。これは従来のシステムにおいては数分から20分以上かかるもので、その計算速度の向上は業界にとって大きなメリットです。

実証実験の成果

実際、TriValue社における実証実験では、宅配件数92件、10台の車両を使い、計画的な配送ルートを試行しました。この際、熟練担当者が3時間かかっていた配送計画作成の時間を「OptyLiner」の導入によって10分以内に短縮することに成功しました。また、10台の車両を利用していたところ、計画の最適化により1台の車両分を減少させることも可能となりました。

物流業界への広がり

今後、3社はさらなる機能の追加を計画しています。例えば、共同配送を行う際の管理機能や蓄積された配送データを分析した需要予測など、新たなサービスを追加して、物流業界全体の改革をサポートしていく方針です。「OptyLiner」は、家具や家電、建材など、配送先で作業が行われる商品を扱う企業に特に有用とされています。