再生可能エネルギーと製造業の未来を切り拓く対談レポート
再生可能エネルギーの導入を支援する日本エネルギー機構と、先進的なレーザーマーキング技術を有する株式会社五月加工が、ものづくりと持続可能性について語り合いました。この対談の背景には、双方が共通して抱く「現場から社会を変える」という熱い思いがありました。
株式会社五月加工の革新技術
五月加工は金属、プラスチック、木材、セラミックなど、様々な素材に対応するレーザーマーキングを専門に行っている企業です。ファイバーレーザーやCO₂レーザー、UVレーザー、ダイオードレーザーなど、多様な機器を使用することで、従来は難しかった素材への高精度な加工を実現しています。
代表取締役の木村泰之氏は、前職での経験を通じて製造現場でのマーキング需要が増していることを実感しました。「製造業においては、見た目の美しさと品質の両立が重要で、マーキング技術の役割がより一層求められている」と語る木村氏。その思いが結実し、五月加工が生まれました。
同社では、特に3Dスキャナーを駆使した曲面や円筒形状へのレーザーマーキングに力を入れています。単なるロゴや型番の印字に留まらず、意匠性やデザイン性を強化することによって、製品の価値を高めようとしています。
環境意識の高いものづくり
五月加工のもう一つの大きな特徴は、レーザーマーキングが非接触かつインクや溶剤を使用しないという環境に優しい加工手法であることです。この特性を生かして、同社はSDGsを意識した取り組みを行っています。例えば、相模原市の地域イベントでは、バイオマス素材であるコルクを用いたレーザーデザインによって、環境配慮型のものづくりを実践しました。
また、日本エネルギー機構の猪熊克己社長も、「持続可能性」をキーワードにした企業支援策として、PPAモデルを推進しています。猪熊社長は「企業が無理なく再生可能エネルギーを導入できる仕組みが不可欠」と述べています。
SDGs推進の障害
中小製造業がSDGsに取り組む上での現実的な課題について、木村氏は「設備投資のハードル」を指摘しました。高性能なレーザー機器や専用ソフトウェアを導入するには多大な資金が必要ですが、製造業全体では賃金が上がりづらい中、未来への投資は後回しになりがちです。また、日本では工業用機械に必要な300ボルトの電力供給が難しい環境も、技術的な障害として存在します。
これらの課題を解決するためには、行政や業界団体、金融機関が連携して、中小企業向けの支援や補助制度を整備することが重要です。猪熊社長も「持続可能なものづくりを実現するためには、現場で直面する問題を解決する必要がある」と強調しています。
地域の協力と未来へのビジョン
五月加工は、以前勤務していた「ヨコハマシステムズ」との関係を大切にし、地域産業の活性化を進めています。地域の企業や自治体との連携を強化し、レーザーマーキング技術によって地元産業の底上げを図ることを目指しています。
一方、日本エネルギー機構も地域工場や中小企業との共同作業を大事にし、単なる電力供給にとどまらず、“共に未来をつくるパートナー”として再生可能エネルギーの普及をサポートしています。電力の安定供給だけでなく、導入後の運用・管理サポートも考慮したトータルソリューションを提供することで、地域の持続可能な発展に寄与しています。
両社が対談で話し合ったのは、コストや技術だけでなく、「地域に根ざし、社会と共に成長する」という本質的なビジョンです。製造業とエネルギー産業が交差することによって、新たな地域価値の創造が期待されています。
終わりに
今回の対談を通じて確認したのは、「美しさ」と「持続可能性」を両立するものづくりが、現場から社会を変える力を秘めるということです。最新の技術追求と同時に、環境や社会課題への対応を進めることは容易ではありません。しかし、その挑戦が製造業の未来を開く鍵になります。地域から始まる革新は、必ずや社会全体に影響を及ぼすことでしょう。今後も両社は、「ものづくり」と「エネルギー」を通じて新たな価値を創造し続けます。