中小企業の賃上げ実施状況とその影響
近年、中小企業における賃上げが注目されています。株式会社フォーバルが発表した「BLUE REPORT 11月号」では、2025年時点での中小企業の賃上げ実施率が66.3%に達したことが報告されました。本記事では、その実施状況や効果、そして今後の動向について詳しく分析します。
賃上げ実施企業の現状
調査によると、66.3%の企業が賃上げを実施していることが明らかになっています。このうち、「2025年1月以降に賃上げを実施している」と回答した企業は15.4%、また「2025年以前から実施している」とした企業は50.9%でした。このデータからも、昨年の同時期に実施した調査(56.0%)と比較して、実施企業が増えていることが分かります。
賃上げ率の傾向
賃上げを実施した企業の中で最も多い賃上げ率は「2%〜3%未満」で、18.6%に達しました。この後は「1%〜2%未満」が18.1%、そして「3%〜4%未満」が14.6%と続きます。約半数の企業(51.3%)が1%〜4%未満の範囲で賃上げを行っていることが見て取れます。また、「6%以上」の賃上げを実施した企業も10.1%あり、特に建設業において高い割合が見られました。
賃上げの効果に対する意識
賃上げを実施した企業の42.2%がその効果を実感していることも報告されています。「とても効果があった」と回答したのは8.9%、また「ある程度効果があった」という回答が33.3%でした。これに対して最も多い回答は「どちらともいえない」で34.0%となり、まだ効果の見定めに苦しんでいる企業も多いことが指摘されています。
さらに、効果を実感した企業に対しては、賃上げがどのような影響を与えたのかについても調査が行われています。その結果、「従業員のモチベーションが向上した」と感じた企業が85.6%と圧倒的に高い数値を示しました。他にも「離職率が低下した(17.1%)」や「生産性が向上した(15.2%)」という声もあり、従業員に対する良い影響が伺えます。
まとめ
調査の結果、中小企業における賃上げが徐々に進展していることが見えてきました。賃上げを図る企業が増える中、効果を実感できている企業は依然として低調でありますが、モチベーションの向上や離職率の低下といったポジティブな影響も確認されています。
政府も賃上げを促進するために様々な支援策を提供していることから、今後も中小企業が成長し、賃上げを進めることが求められます。企業側は自社の経営状況を考慮し、必要な支援を上手に活用していくことが重要です。中小企業が賃上げを実施することで、より良い労働環境を築き、さらなる成長につながることを期待しています。