大林組、ホイールローダ用自動運転装置を開発し実証実験成功

大林組、ホイールローダ用自動運転装置の開発

株式会社大林組（本社：東京都港区、社長：蓮輪賢治）は、ホイールローダ用の後付け自動運転装置を発表しました。この装置は、茨城県神栖市に位置する大林神栖バイオマス発電所において実証実験を行い、燃料運搬作業の自動運転を成功させました。

1. 背景

建設機械は工事現場に欠かせない存在であり、ショベルカーやダンプトラックなど、様々な業種で幅広く活用されています。しかし、労働者不足や長時間労働など、現場の労働環境は多くの課題を抱えています。これらの問題を解決するために、自動運転技術の開発が進められています。大林組は、建設自動化の一環として、「バックホウ自動運転システム」や「タワークレーンを使ったコンクリート自動運搬システム」をすでに開発しています。

近年では、異なる建設機械同士を連携させて複数の機械を自律運転させる技術にも成果を上げています。2023年にはダム建設における盛土作業の自動化に成功し、さらなる技術の深化が期待されています。今回開発されたホイールローダ用自動運転装置は、これらの技術を応用したものとなります。

2. 装置の特徴と実証実験の内容

(1) 柔軟な後付け自動化

新たに開発されたホイールローダ用自動運転装置は、採用するメーカーや機種に関係なく後付けが可能な設計が特徴です。この装置には、3D-LiDARセンサーや傾斜計などの各種センサー、そして自動運転制御盤が組み込まれており、作業設定を安全な場所から遠隔で行えます。

ホイールローダは周囲の状況を把握し、最適な位置で運搬物をすくい込む能力を持ています。自動運転の過程では、設定した経路に沿って移動し、必要な作業を行います。さらに、作業員の熟練度に関わらず簡単に操作できるため、効率的な運用が可能です。

また、装置には帳票機能があり、運搬した数量や積み込みのデータ管理も行えます。

(2) 実証実験の成果

今回の実証実験では、PKS（パーム椰子の殻）を取り扱い、集積場所からバイオマス発電所への燃料運搬を行いました。135tの投入量を、驚くことに約2時間半で達成しました。特に注目すべきは、暗闇でも正確に作業を行えるセンサーを搭載している点です。これにより、昼夜を問わず安定した運用が実現しました。

3. 今後の展望

この自動運転装置は、固定された作業環境であれば昼夜問わず稼働可能で、特に採石業や他の発電施設などでの活用が期待されます。大林組はさらなる技術開発を続け、作業の省人化や生産性向上に寄与していく意向を示しています。

自動運転技術の進展は、建設業務のみならず、様々な分野に影響を及ぼす可能性があります。大林組は、その活用の場を広げ、多様な産業に貢献していくことを目指しています。自動運転技術が生み出す未来には、さらなる期待が寄せられます。