近年の家族名義の口座状況は?
最近、ベンチャーサポート相続税理士法人が実施した調査によると、約70%の人が家族名義の口座を持っていることがわかりました。
その一方で、約40%の人々が、家族名義の口座が相続税の対象になることを理解していないという結果も報告されています。
家族名義の口座の開設状況
調査対象者に対し「家族名義の口座を開設したことがあるか」という質問を行ったところ、明確な回答を得られました。子ども名義の口座が最も多く、90%以上の人がその開設経験を持っています。次に多いのが配偶者名義で、約40%の人がこれを利用しています。
また、孫名義の口座やその他の家族名義口座も数名いましたが、全体として家族名義の口座が広く利用されていることが示されています。
目的としての家族名義の口座
家族名義の口座を開設した目的として最も多かったのは、「お年玉や教育資金、成人・結婚祝い」といった贈与目的で、63%を超える人がここに挙げています。他にも生活費の管理や贈与のための口座とするケースがみられました。多くの人が、家族とお金のやり取りや資産管理を意識していることが伺えます。
口座の管理状況
興味深いことに、家族名義の口座の通帳や印鑑を管理しているのは約64%という結果が出ました。これが意味するのは、家計管理の見える化による家族間の透明性です。しかし、3割以上の人が自分の名義の口座と同じ印鑑を使用していることが分かり、管理が不透明になるリスクも生じています。また、贈与契約書を作成している割合は1割にも満たず、法的なトラブルのリスクを抱えています。
相続税についての認識
さらに調査では、家族名義の口座が相続税の課税対象になるという認識が薄いことが浮き彫りになりました。なんと、43%の回答者がこれを「知らない」と答えています。多くの人が、相続の際に発生する税務上の問題に無頓着であることがわかります。
どこから情報を得ているかという問いには、およそ3割がインターネットやSNSで知ったと回答しており、新聞や専門書、アドバイザーからの情報は少数派です。これに対してリテラシー向上の必要性が叫ばれます。
生前贈与の実態
生前贈与を実行したことがある人はわずか13%という数値も注目されます。この結果からは、贈与税を意識している人が少ないこと、また実際に道筋を立てて行うことが難しいと考える人が多いことも考えられます。特に110万円以下の贈与に関しては、約80%の人が検討したことがありましたが、実際に行動に移すまでには至らないようです。
結論として
この調査は家族名義の口座利用の実態や、相続税に対する無関心さ、生前贈与に関する意識の違いを浮かび上がらせました。家計管理の視点だけでなく、税務上のリスクを理解し、より良い形で家族間の資金管理をしていくことが重要です。今後、税務知識の普及が進むことで、より多くの人が自分の家族名義の口座の役割と意義を理解し、適切な管理ができることが期待されます。