NUKEMがベルギーで放射性廃棄物管理の新境地へ

株式会社ムロオシステムズの子会社、NUKEM Technologies Engineering Services GmbHは、ベルギー・デッセルにおける放射性廃棄物のセメント固化施設プロジェクトで重要な成果を上げました。この成果は、プロジェクトの実現を確実にし、持続可能かつ安全な放射性廃棄物管理の礎となるものです。

重要な達成事項

1. フルスケール試験の成功（2024年9月予定）
この試験において、セメント化技術および固化された廃棄物の品質が確認され、すべての技術仕様と受け入れ基準に合致していることが証明されました。これによりプロセスの信頼性が裏付けられました。

2. 保守性に関するワークショップ（2025年1月・カールシュタイン）
第二段階に向けて、主要な技術的課題の洗い出しが行われ、今後のデモでの改善に向けた準備が進められています。このワークショップでの討議は、施設とプロセスの保守性向上に寄与します。

3. リスク評価会議（2025年2月・デッセル）
HAZOP、HAZID、LOPA手法を用いた全体的なプロセス安全性レビューが実施され、有効な対策案が整備されました。

いずれのマイルストーンも、NUKEMとベルギーの放射性廃棄物管理機関であるNIRAS（ONDRAF）との緊密な協力関係の成果です。

プロジェクト概要

本プロジェクトは、主に解体中の原子力施設から生じた高硝酸性・酸性の放射性液体廃棄物を対象としたセメント固化施設の建設を目指しています。運転開始後は、約800本の廃液ドラムが処理され、安全に保管できる形での安定化が図られます。

NUKEMの技術は、フランス原子力・代替エネルギー庁（CEA）が開発したラボプロセスに基づいており、工業規模での展開に成功しています。具体的には、廃液を均質にセメント化し、非放射性のモルタルでカプセル化することで、安全かつ効率的な最終処分を実現しています。

今後の展望

詳細設計フェーズの完了が間近となり、次は建設、試運転、引き渡しの順で進む予定です。2029年の稼働開始を目指して進められる本プロジェクトは、ベルギーにおける放射性廃棄物処理の中心的な役割を果たし、持続可能な環境保護にも貢献することが期待されています。

経営陣のコメント

「私たちはこのプロジェクトを通じて、技術的要求を満たすだけでなく、未来の世代への責任を果たす信頼の構築にも寄与しています。」— トーマス・ザイポルト（NUKEM エグゼクティブオフィサー・プレジデント）
「NUKEMがこのセメント固化施設を通じてベルギーに貢献できることを誇りに思います。安全かつ持続可能な放射性廃棄物処理は、技術だけでなく社会的使命でもあります。」— 二宮暢昭（NUKEM エグゼクティブオフィサー・マネージングディレクター）

会社概要

NUKEM Technologies Engineering Services GmbH

1970年の設立以来、NUKEMは60年を超える経験を有し、放射性廃棄物や使用済み燃料の管理、原子力施設の廃止措置に関する最先端技術を提供しています。高品質なソリューションを用いて、世界中の原子力プロジェクトを専門的に支援し、持続可能な放射性廃棄物管理を推進しています。

株式会社ムロオシステムズ

日本に拠点を置くムロオシステムズは2006年に設立され、分散型計算力センターを中心としたITソリューションを展開しています。再生可能エネルギーに基づく電力開発プロジェクトにも注力し、グローバル市場での競争力強化に努めています。また、NUKEMの100％親会社として、原子力技術とITの融合を進めています。