すしの新たな次元に迫る: 『鮨なんば』店主の技術書
東京・日比谷で予約困難の名店『鮨なんば』の店主、難波英史氏が初めて自らの技術と哲学を体系化した専門書『すしは進化する―変わりゆく江戸前、鮨なんばの表現―』が、旭屋出版より発表されました。この書籍は、すし職人が実務に則した形で学べる数少ない技術書の一つであり、すしについての理解を深めるための貴重な資料となっています。
書籍の中身
本書は、難波氏の代名詞である「温度に基づいた握りの最適化」を中心に、すしダネの仕込みから握りの技術、さらには酒肴やコース構成、素材選びに至るまで幅広い知識を提供しています。伝統的な江戸前すしの技法を尊重しつつ、現代の技術や食材を取り入れる姿勢は、時代の要請に応えたものです。
温度設計の重要性
難波氏は温度設計に関する知識を徹底的に解説しています。握りの温度がどのように味わいに影響を与えるのか、一つ一つの温度差の考え方が、理論と実践を交えて示されています。この初の試みは、すしに携わる人々だけでなく、食の可能性を探る全ての人々にとっての新しい指針となることでしょう。
実践的な技術と豊富な写真
本書には、30種以上の魚介を扱うすしダネの仕込みや、すし飯の作り方、握り方、酒肴に至るまで、豊富な工程写真とともに実践的な技術がまとめられています。手順を分かりやすく解説しているため、今すぐにでも実践に移せる貴重な内容が満載です。
重視すべき素材の理解
さらに、豊洲市場での取材を経て得た、魚選びや見極めの知識も詳述されています。仲卸や生産者の視点も交えながら、選び方や下処理の仕方など、素材を最大限に活かすための知恵が詰め込まれています。これにより、職人はより良い食材の使用を学び、顧客にとっても質の高いすしを提供することが可能です。
グローバルな視点
難波氏は日本のすし文化を広めるために、書籍の一部には英訳を併記しました。これにより国内外のすし愛好者にもアプローチできる構成となっており、日本が誇る食文化の価値を国際的に伝える役割を果たしています。
理論と実務の融合
この書籍は、ただの技術書だけでなく、難波氏が経営者として直面した課題や哲学についても触れています。江戸前すしの基本を崩さず、他の料理ジャンルからも学び、糧としている姿は、今の職人としての在り方を示すものでもあります。
まとめ
『すしは進化する』は、難波氏の情熱と職人としての誇りが随所に表れた一冊です。まさに、温度に基づいた握りの可能性を探り続ける職人の思いが投影されており、今後のすし文化の発展に寄与すると期待されています。これからのすしのトレンドを見越した内容は、すし好きの方々にとっても必見です。忘れずに手に取ってみてください。