棠方志功の魅力を再発見する特別展
2025年の夏、池袋の中心にある西武池袋本店で、没後50年を迎える棟方志功の特別作品展が開催されます。この展覧会では、彼の多様な芸術表現を一堂に集め、訪れる人々にその魅力を再発見してもらうことを目的としています。
棠方志功とは
棠方志功(Munakata Shiko)は、1903年に青森市に生まれました。彼は一貫して「木版画こそ日本の美」と認識し、それに没頭していきました。戦後、日本人として初めて国際的な賞を受賞し、世界の美術界でも注目される存在となりました。棠方は、家族や自然、故郷からインスピレーションを受け、独自の表現方法で作品を残しました。その中で、棠方は「世界のMunakata」として、20世紀の代表的な芸術家の一人として評価されています。
展覧会では、板画・和画・油画・書といった彼の多様な才能の一端を見せる逸品が展示される予定です。
作品の一部を紹介
「磯鷲の柵」
この作品は、1955年に制作されたもので、サイズは24×15cmです。「磯鷲はかなり巌にとまりけり」という原石鼎の歌にインスパイアされて彫られました。棠方は、八甲田山の頂上近くで舞い降りてきた鷹に感動し、「世界一の芸術家にしてください」と祈ったエピソードが残されています。この作品は、彼にとって特別な存在である「神鷹」として描かれています。
「足揚妃の柵」
1959年に作成されたこの作品は、サイズ40.5×30cmで、棠方が初めて渡米した際に感銘を受けたアートに影響を受けたと思われます。板画の黒をうまく使い、その活発で晴れやかな女性像が見る者に強い印象を与えます。この時期から、彼の色彩表現はさらに豊かになっていきました。
「鴛鴦の柵」
1945年に制作されたこの作品は、サイズが44.3×33cmで、戦後初の作品らしい力強さを持っています。鴛鴦模様が描かれた人物像は、黒と白のコントラストを巧みに利用し、装飾的な美しさを展示しています。棠方の中期のスタイルを如実に表現している重要な作品です。
「春映の柵」
この作品は、1956年に制作されたもので、サイズは33.4×31.8cmです。文豪・谷崎潤一郎の和歌に基づいて、棠方が依頼された作品の一部です。このシリーズは、彼にとって新たな技法を探求するきっかけとなり、繊細な水辺の風景を描き出しています。
会場とアクセス
西武池袋本店の8階、美術画廊に併設されたこの特別展示は、2025年6月26日から7月8日まで行われます。特に7月1日と最終日の7月8日は、展示品の入れ替えや閉場が予定されているため、訪問の際にはご注意ください。
お問合せは、03-3981-0111(代表)まで。営業時間は午後8時までですが、最新の情報は公式サイトをご確認ください。棠方志功の作品を通じて、彼の独特の視点や情熱に触れ、新たな感動を体験してみてはいかがでしょうか。