2025年の夏、東京での教育プロジェクトが新たな一歩を踏み出します。株式会社電通グループとパナソニックホールディングス、さらにはブロックチェーン推進協会とともに、「自己主権型情報環境」を構築し、教育現場におけるデジタル実践を進めます。特に注目されるのは、落合陽一氏による「サマースクール2025」です。このプログラムでは、AIアバターを通じた学びと、Web3テクノロジーを活用した「教え・教えられた関係性」のNFT化に焦点を当てます。
「落合陽一サマースクール」は、小中学生を対象とした学びの場で、参加者同士の交流や実践的な学びを通じて創造力や解決力、社会的視野を広げることを目的としています。2016年から続くこのプログラムは、今年で10周年を迎えます。今年のテーマは「未来をつくる対話」です。落合氏の講義に加え、ワークショップ形式での体験やディスカッションを通じて深い学びを得ることを目指しています。
現在、教育現場では、教員と生徒、さらには生徒同士のコミュニケーションがデジタルで管理・分析されることが多くなっていますが、プライバシーを保持しながら活発な議論を促す環境が求められています。新しい情報技術の急速な発展に伴い、個人のアイデンティティや学習履歴といったデータの取り扱いについても革新的なアプローチが必要です。ここで注目されるのが、Web3技術を使った「自己主権型情報環境」です。
本プログラムでは、以下の2つの大きな要素に基づいて、教育の新しい可能性を探ります。まず一つ目は、参加生徒一人ひとりに提供されるAIアバターとの対話を通じた自己理解の深化です。このAIアバターは、生徒のアイデンティティと結びつく情報を持ち、継続的な対話を行うことで内面的理解を促進します。このプロセスは、参加者が自らのアイデンティティを自覚し、自分を深く知ることにつながるでしょう。
次に、教員や友人との「教え・教えられた関係性」をNFT化して可視化する取り組みがあります。授業中に生徒が構築した関係や活動履歴がパブリックチェーン上に記録され、生徒自らが管理できる仕組みです。ここでの特徴は、個人情報を伴わない形で関係性を管理できるため、より安全で透明性の高い環境が実現されます。こうした新しい情報管理手法は、今後の教育の形を大きく変える要素となるかもしれません。
DII(電通イノベーションイニシアティブ)の研究開発は、この実証を通じて教育と社会のインフラ面での新しい標準化を進め、「自己主権型アイデンティティ管理」を実装することを目指しています。教育機関や企業との連携により、Web3技術がもたらす新しい社会的構造の創出に向けた取り組みが続いています。
このサマースクールは、若い世代に新たな視点とスキルを提供し、未来に向けた大きな可能性を引き出す力となるでしょう。私たちの教育環境が変化していく中で、今までの枠組みを超えた斬新なアプローチが求められています。大きな挑戦と期待を抱いて、2025年のサマースクールが始まる日を待ち望みましょう。