2025年個人資産運用顧客満足度調査の結果と最新動向
2025年個人資産運用顧客満足度調査が、J.D. パワーによって発表されました。市場変動が続く中で、個人投資家たちの総合満足度は依然として高い水準を維持しています。この調査は、直近1年以内に主に利用した金融機関での資産運用に関する体験を基に評価しています。
市場の不安定性と顧客の反応
昨年は、株価の急落や国の通商政策に対する警戒感が影響し、為替や株価の変動が多かったといえるでしょう。調査結果では、投資信託や国内外の株式において資産額が減少したと回答した人が約20%に達し、これは前年に比べて10ポイント以上の増加を示しています。市場の不安定性は、個人の資産形成に大きな影響をもたらしました。
それにもかかわらず、対面証券、全国系銀行、ネット銀行では顧客満足度が横ばいであり、特にネット証券では大きな改善が見られました。ロイヤルティも維持され、顧客が金融機関に望むのは短期的な運用成果だけでなく、信頼性や長期的な関係性であることが示唆されます。
ネット証券の進化とその影響
特にネット証券部門の満足度が向上した背景には、手数料やサービスの質の向上が挙げられます。「手数料・金利」でのスコアは20ポイント以上も上昇し、果たしている役割の重要度が改めて認識されています。多くのネット証券は低コストで魅力的な商品を提供し、その戦略思考が評価されています。また、顧客対応や情報の伝達の効率化が、顧客の不安感を軽減し、総合満足度の向上に寄与しています。
株価急落時のフォローアップ
特に2024年8月の株式市場における急落の際、金融機関からの適切な情報提供が顧客満足度に大きく影響を与えることが確認されました。連絡があった顧客と無かった顧客を比較すると、満足度に明らかな差が出ました。この時期には、役に立つ情報が得られることが顧客にとって非常に重要であることが浮かび上がります。情報の質やその提供方法を見直し、顧客とのエンゲージメントを強化することが、今後ますます求められるでしょう。
総合満足度ランキング
以下は、J.D. パワーによる2025年の顧客満足度ランキングです。
対面証券部門
1. 野村證券(608ポイント)
2. 三菱UFJモルガン・スタンレー証券(601ポイント)
全国系銀行部門
1. 三井住友銀行(602ポイント)
2. 三菱UFJ銀行、りそな銀行(596ポイント)
ネット証券部門
1. SBI証券(653ポイント)
2. 楽天証券(652ポイント)
ネット銀行部門
1. auじぶん銀行(640ポイント)
2. 住信SBIネット銀行(638ポイント)、ソニー銀行(637ポイント)
まとめ
今回の調査結果は、金融機関のサービスが顧客のニーズにどう応じているかを示す重要な指標です。市場の不安定性にもめげず、顧客満足度を維持している点は、金融機関にとって今後の運用戦略やサービス改善の方向性を示唆するものです。情報の質と提供のタイミングが、顧客との信頼関係を深めるための鍵であり、金融機関の今後の成長にも寄与することでしょう。