北海道におけるモーダルコンビネーションの挑戦
北海道地域の物流において、大きな変革が期待されています。食品メーカー6社と物流企業F-LINEが共に取り組むこのプロジェクトは、持続可能な物流体制の確立を目指した新たな輸送方法である「モーダルコンビネーション」を導入するものです。この取り組みは、トラックと鉄道を組み合わせることで、運送の効率化と環境負荷の低減を図ることを目的としています。
背景と目的
日本の物流業界は、特にトラックドライバーの不足や環境への負荷の増大といった深刻な問題に直面しています。特に北海道では、札幌と帯広を結ぶ幹線輸送においても問題が顕在化しています。そこで、今回の取り組みでは、鉄道を利用することでCO2排出量をおよそ43%削減することを目指しています。この試みは2025年9月から試験的に実施される予定です。
モーダルコンビネーションとは?
モーダルコンビネーションは、トラックや鉄道、船舶などさまざまな輸送手段を適切に組み合わせ、輸送効率を高める方法です。これにより、それぞれの輸送手段の特性を最大限に活かしながら、より持続可能で効率的な物流を実現しようとしています。
具体的な取り組み内容
現在、このプロジェクトに参画しているのは、味の素、カゴメ、日清オイリオ、日清製粉、ハウス食品、Mizkanといった大手食品メーカーです。彼らは2016年から共同配送の取り組みを始め、札幌市と北広島市に分散していた保管・配送拠点を、一箇所に集約しました。これにより、物流の効率化とコスト削減を実現しています。
ただし、約80%の納品先が札幌都市圏に集中している一方で、残りの20%は地方に分散しているため、物流モデルの見直しが急務でした。特に長距離輸送を担うトラックドライバーの不足は深刻で、「運べないリスク」の発生が懸念されていました。
そのため、今回の取り組みでは、札幌から帯広への長距離の幹線輸送に鉄道を利用し、中継点からの近距離配送をフレキシブルに対応できるトラックで行うことで、物流の効率を追求します。
持続可能な未来へ
2025年から始まるこのトライアル輸送は、国土交通省の支援を受けており、その成果が期待されています。「競争は商品で、物流は共同で」という理念のもと、各社は連携を深め、再構築された中・長距離輸送ルートの整流化を図る予定です。これにより、より効率的で安定した配送網を構築し、食品業界全体の持続可能な物流体制を整えることを目指しています。
まとめ
北海道におけるモーダルコンビネーションの導入は、他地域へも波及効果が見込まれ、持続可能な物流の実現に向けた重要な一歩です。この取り組みが成功すれば、より多くの企業が参加し、環境保全と効率化の両立を目指す新たな物流モデルが全国規模で普及していくことが期待されます。