タカノ、生成AI活用の成果報告会を開催
つい先日、タカノ株式会社は全社的な「生成AI活用成果報告会」を開催しました。このイベントでは、同社の各部門から生成AIを活用した具体的な取り組みや成果が多岐にわたって共有されました。報告会には、製造現場から管理部門に至るまでの9つの部門が参加し、業務の効率化、品質向上、新たな価値の創造に向けた事例が発表されました。
背景と課題
タカノ株式会社は長野県に本社を構える製造業者ですが、近年では国内の製造業全体が労働人口の減少や熟練技術者の知見継承の困難といった課題に直面しています。こうした環境の中、「製造業から『創造業』へ」というビジョンを掲げ、生成AIの活用が不可欠と考えています。このビジョンを実現するために、2025年4月からは各部門にAIリーダーを任命し、現場主導でのAI利用を進めてきました。今回の報告会は、それらの取り組みの成果を全社で共有し、さらなる推進の機会とするものです。
各部門での主な成果
報告会では、特に目を引く成果がいくつかありました。
エクステリア部門
この部門では、オーニングの主力製品に関する過去の資料をAIに学習させ、高精度なFAQシステムを構築しました。その結果、特注仕様に関する問い合わせへの回答時間を平均30分から3分に大幅に短縮しました。今後はチャットボット化を目指し、24時間対応を計画しています。
ファニチャー部門
ファニチャー部門では、膨大な過去の資料をAIが学習し、統合検索システムを導入しました。これにより、開発の初期段階で過去の知見をAIが提示し、設計的な手戻りを削減。開発期間の短縮と品質向上を達成しています。
産業機器部門
データ分析に基づく顧客への付加価値提案も進んでいます。問い合わせ内容をAIが分析し、購買意欲の高い顧客を自動でリストアップ。スピーディなアプローチが可能となり、顧客の工場負荷軽減に貢献しています。
画像計測部門
こちらの部門では、社内外の問い合わせに対し、AIが技術資料・FAQを横断検索し、要点を自動要約することで、担当者が迅速に対応できる環境を整備しました。
ヘルスケア部門
顧客接点データや業務データをAIで分析し、案件に応じた次のアクションを提案する仕組みを強化しています。これにより、一貫した顧客対応が実現され、提案の質も向上する見込みです。
技術開発本部
医療・介護分野向けにLLMを活用した開発が進行中です。セキュアな環境での検証も行い、具体的な市場開拓に向けた評価が進められています。
管理部門
人事部門においては、複雑な人事規定に関する問い合わせを24時間対応するQ&A検索ポータルを構築。経理部門では固定資産の勘定科目を自動で判別するシステムを開発しました。これらにより、業務の標準化が進んでいます。
今後の展望
タカノは、生成AIの活用を「個人利用」から「組織利用」へと進化させ、部門間でのデータ活用をさらに推進していく計画です。将来的には顧客へ新しい価値を提供しつつ、新事業の創出にも繋げていく考えです。
タカノについて
タカノは、製造業から新たな創造業への転換を目指し、ばねの製造から始まり、オフィス家具やエクステリア製品、さらには医療・福祉関連製品まで、多岐にわたる事業展開を行っています。これからも持続的成長を追求し、豊かな社会の実現に貢献していく所存です。