能登半島地震から1年の求人動向
2025年が始まり、能登半島地震から1年が経過しました。1年前の震災は、特に石川県において多くの影響を与えています。株式会社フロッグが発表した求人動向レポートでは、この1年間の求人市場の状況について分析しています。特に、震災による影響が大きかった石川県輪島市と志賀町について詳しく見ていきましょう。
求人件数の推移
まず、2023年1月から2025年1月の石川県全体の求人件数を見てみると、20,000件から23,000件の間で増減を繰り返していることがわかります。震災直後の2024年1月には求人件数が減少したものの、同年2月には回復を見せています。この回復は、求人市場がいかに柔軟に変化しているかを示す重要な指標と言えるでしょう。
特に輪島市と志賀町に焦点を当てると、2024年の初めに求人が大幅に減少しましたが、その後再び活気を取り戻し、8月以降は震災前の水準に戻っています。ただし、9月から11月にかけての求人件数の増加は、特に奥能登豪雨の影響を受けた中での重要なポイントです。
雇用形態別の動向
次に、雇用形態別の雇用状況を見ていきましょう。輪島市と志賀町での非正規雇用は、震災後の影響をより強く受けており、求人件数は2023年の水準に及ばない状況が続いています。一方、正規雇用の求人は、震災前の水準を上回る時期もあり、正規雇用市場の復調が見て取れます。
このことから、正規雇用に対する需要が高まっていることが示されています。多くの企業が安定した働き手を求めていることが、この状況に寄与していると言えるでしょう。
時給の変動
続いて、時給の動向も注目です。全国及び石川県全体、さらに輪島市と志賀町における時給の推移では、震災による大きな影響は見受けられませんでした。石川県では最低賃金が2024年10月に引き上げられ、おおよそ984円に達しました。特に、志賀町や輪島市がこの改定により時給が一気に上昇した点が注目されます。
職種別求人分析
2023年から2024年の求人件数の増減率を職種別に分析したところ、輪島市と志賀町では“電気・電子系”、“ホテル・旅館系”、“建設・土木系”が特に減少していることが確認されました。逆に“飲食系”や“販売・接客系”の求人件数は増加傾向にあります。
全国の傾向と比較すると、輪島市と志賀町において“ホテル・旅館系”の減少率が特に高かったのが顕著です。観光地であるこれらの地域にとって、ホテルや旅館の求人が不振なのは、非常に厳しい現実を物語っています。
結論
今回の分析から、震災の影響を大きく受けた輪島市と志賀町の求人市場は徐々に回復している一方で、“ホテル・旅館系”の職種は依然として厳しい状況にあります。復興需要により“建設・土木系”の求人は伸びているものの、観光関連の業界は未だに厳しい局面を迎えています。
データを元に、今後の求人市場の動向を注視し、企業や求職者がより良い選択を行えるようにしていきたいですね。私たちもこの情報を活用し、より詳細な市場分析を行っていく必要があります。