AI Overviewsの導入と業界別CTRの変動分析
株式会社PLAN-Bマーケティングパートナーズが発表した最新の調査レポートでは、AIによる検索要約機能「AI Overviews」が検索結果に与えるクリック率(CTR)の影響について詳しく分析しています。特に注目すべきは、この影響が業界ごとに異なるという点です。
調査の背景
2024年8月より日本でも始まったAI Overviewsは、ユーザーが検索結果ページ上で直接回答を得られるため、ウェブサイトをクリックせずに検索を終了する「ゼロクリック検索」を引き起こしています。この変化により、SEO担当者はクリック率の低下を懸念し、多くの関心を寄せています。しかしながら、これまでの調査はクエリ単位の平均値に基づいているため、業界別や個別サイトごとの具体的な影響を理解する資料は限られていました。
このような背景から、今回の調査が行われることになりました。
調査の詳細
調査期間は2024年4月1日から30日、2025年4月1日から30日とし、様々な業界のクライアントサイトからランダムに抽出されたサイトを対象にしています。「Google Search Console」のデータを基に、AI Overviewsが表示されたクエリとそうでないクエリに分け、それぞれに対するクリック率を算出しました。具体的には、以下の3つの検索結果に基づいています。
1. 対象サイト全体の全てのクエリにおける、1位のときのCTR
2. AI Overviewsが表示されていたクエリに限定した、1位のときのCTR
3. AI Overviewsが表示されていなかったクエリに限定した、1位のときのCTR
この分析により、「1位のときのCTR」は各サイトのクエリごとの平均掲載順位とクリック率の関係をもとにして算出されています。
主な調査結果
全体の傾向
AI Overviewsが表示されたクエリに焦点を当てると、1位のときのCTRは前年同月比で4.2ポイント減少しています。このことは、ゼロクリック検索が増加していることを示唆しています。同様に、AI Overviewsが表示されなかったクエリでも、全体的にCTRは低下しています。これは、検索結果上のリッチリザルトや、情報検索の行動が生成AIによるものにシフトしていることが要因とされています。さらに、AI Overviewsが表示されるクエリは、もともとCTRが低かったことがわかりました。
業界別の影響
調査結果によると、「エンターテインメント」カテゴリーがAI Overviewsの影響を最も強く受けており、特に“占い”関連のクエリにおいてかなりの影響が見られました。その他の業界においても、ファッション・アクセサリーや医療・福祉、教育、資格など、具体的なCTRデータが確認できています。
このレポートの詳細は、PLAN-Bのウェブサイトで公開されています。興味のある方は、ぜひ確認してください。
総括
AI Overviewsの導入は、ただのトレンドではなく、実際に多くのビジネスに影響が及ぶことが示されています。特に、業界によってその影響の度合いは異なるため、企業は自社の状況を冷静に分析し、適切な対策を講じる必要があります。具体的には、AI Overviewsの表示状況やオーガニック検索流入の影響を把握し、その上で新たなマーケティング戦略を構築することが重要とされています。これからのデジタルマーケティング戦略において、データに基づく冷静な判断が不可欠です。