経営者の判断を未来へ継承するAI基盤『Expert Graph』
日本の経済界では、経営者の高齢化が進み、多くの企業が事業承継や技術の引き継ぎに頭を悩ませています。平均引退年齢が70歳を超える中、企業の競争力は「どのように判断を下すか」という熟練者の経験に依存しています。そこで、CROSS Business Producers株式会社が発表したのがAI基盤『Expert Graph』です。このプロジェクトは、経営者や熟練者の知識や経験をAIで構造化し、次世代に伝えていくことを目的としています。
日本企業の抱える課題
日本では65歳以上の人口が3,600万人を超え、企業の多くが経営者の高齢化に直面しています。特に中小企業では、経営者の引退が深刻な課題となっており、失われるかもしれない重要な判断基準や経験則をどう残していくかが問われています。これまでも企業はマニュアルやデータを整備してきましたが、そこにあるのは「何を知っているか」という情報に過ぎません。
実は企業の成功には、経営者の判断力や経験に基づく「暗黙知」が不可欠です。どのような失敗から学び、どのような視点で顧客や技術にアプローチしているのかといった情報は、データに変換することが難しい部分です。この判断の継承を『Expert Graph』はサポートします。
『Expert Graph』の仕組み
『Expert Graph』は、判断の基準や経験則、問題解決パターン、専門知識、価値観をAIによって分析し、知識ネットワークとして再構築します。これは単なる情報保存にとどまらず、「意思決定そのものの継承」を目指しています。インタビューや対話を通じて、経営者の思考過程や判断基準がAIに取り込まれ、次の世代が活用できる形で提供されます。
期待される活用分野
この『Expert Graph』はさまざまな分野での活用が見込まれています。例えば、創業者の経営哲学を継承する事業承継や、技術者のノウハウを次世代に伝える技術継承、研究者の成果を引き継ぐ研究開発知識の継承などが考えられています。また、トップ営業マンの成功体験や商談ノウハウ、専門職の知識の資産化など、企業内の多くのノウハウが『Expert Graph』により保存され、活用されることが期待されています。
特許技術を活用
本プロジェクトでは、特許技術を活用することで、知識を保存するだけではなく、その背景にある判断の構造や思考パターンを含めた形で継承していきます。これは、将来的に次世代の経営者や技術者が同じように意思決定を行えるようにするためです。
実証パートナー企業の募集
現在、事業承継や技術継承に課題を抱える企業を対象に、実証パートナー企業を3社限定で募集しています。対象となる企業は、製造業、研究開発部門、技術研究所、専門商社などで、実施内容には知識収集やAI解析、モデル設計などが含まれます。この実証プロジェクトは有償での実施となります。
代表の思い
CROSS Business Producers株式会社の代表、三木言葉氏は、AIの導入にともなう情報管理のコストが下がった現代においても、人の長年の経験による判断や洞察力を簡単に継承できるものではないと語ります。AIを使って経営者や技術者の知恵を未来に残し、新たな価値創造に向けた挑戦が『Expert Graph』です。
この新しい取り組みが、日本企業の持つ独自の「暗黙知」を次世代へとつなぎ、未来の経済活動にどのように影響を及ぼすのか、今後の展開から目が離せません。