都倉俊一オリジナルミュージカル『LIGHT YEARS -幾光年-』東京公演の概要
都倉俊一のオリジナルミュージカル『LIGHT YEARS -幾光年-』が、2025年の7月31日と8月1日に東京のI'M A SHOWで上演されました。この公演は、被爆から80年を迎えた歴史的な背景を持ち、観客の心を打つ内容となっています。
公演の詳細
このミュージカルは全3回のトライアウト公演で、各回ともに満席となり多くの好評を得ました。主演には大原櫻子を迎え、特別出演として松坂慶子が登場しました。都倉俊一氏自身が多くのプロデュースに関与し、音楽やストーリーの深さが印象的でした。
作品の背景
この作品は、1988年にロンドンを拠点に活動する作曲家である都倉俊一が、自身のオリジナルミュージカル『OUT OF THE BLUE』を基に構築したものです。彼は30年間に渡り、この作品を再構成してきました。そして、2025年、被爆80年を機に新たに舞台にかけることになりました。
物語の核
物語は、長崎で原爆による被爆に苦しんだ母・ヒデコ(愛加あゆ)から始まり、その娘・ハナ(坪井木の実)、さらには孫娘・ヒデミ(大原櫻子)へと続く4世代の家族の物語です。松坂慶子の語りによって、被爆体験を持つハナがヒデミに過去を語り聞かせる形で物語は進行します。
この舞台は、長崎の歴史を乗せた重いメッセージが詰まっており、特に戦争や原爆に関する家族の歴史が描かれています。悲しみ、憎しみ、葛藤、和解という複雑な人間関係が展開され、観客に深い感情的な影響を与えることを狙っています。
キャラクターの魅力
主演の大原櫻子は、若き日のハナと孫娘ヒデミの二役を見事に演じ分け、圧倒的な歌唱力を披露しました。また、松坂慶子はその特別出演として物語のキーパーソンとして強い印象を与えます。彼らの演技は、観客に家族の絆と「平和」の重要性を再認識させるものでした。
公演の意義
「被爆体験を風化させてはいけない」という都倉の思いは、作品に込められた「未来への平和の祈り」というメッセージとして表現されています。作品は、ただのエンターテインメントではなく、観客に思索を促す深い内容を持っています。
今後の展望
都倉は、この公演をショーケースとし、全国各地での上演や海外進出も視野に入れているようです。平和のメッセージを日本全国、さらには海外の観客に届けるための名曲や演出が期待されます。
おわりに
都倉俊一オリジナルミュージカル『LIGHT YEARS -幾光年-』は、戦争の経験とそれにまつわる家族の歴史を描きつつ、未来へ向けた希望の光を照らす作品です。今回の公演は、その中での重要な一歩となり、観客に深い感動を与えたことでしょう。今後の展開にも目が離せません。