AI活用で進化する港湾物流 2025年に現地実証開始

港湾物流における新たな風

近年、世界的に貨物量の増加が続く中、港湾ターミナルの運営は、これまで以上に複雑になっています。その背景には、コンテナ貨物情報が常に変化し、それに対応するための計画立案が求められていることがあります。しかし、その立案業務は熟練のスタッフの経験と知識に依存しているため、つねに効率的・効果的な対策が必要とされています。そこで、株式会社三井E&Sと三井倉庫株式会社、そして株式会社日立製作所の三社が手を組み、AI技術を駆使した港湾運営の効率化を目指すプロジェクトが始まりました。

現地実証の概要

このプロジェクトは、2023年に国土交通省から受託した技術開発業務の一環として進行中で、2025年11月より神戸港六甲RC2コンテナターミナルにて現地実証が行われる予定です。現地実証では、AIを活用した搬出日予測やコンテナ配置計画、荷役作業手順の計画が行われ、実際の業務に適用されることになります。特に、三井倉庫が有する運営ノウハウと、日立が提供するAI技術の組み合わせにより、より効率的な運営が実現されることが期待されています。

作業計画立案のデジタル化

港湾の運営においては、伝統的に人間の計画者が持つ経験則に依存してきましたが、今後はデジタル技術の導入により、その精度や柔軟性が高まることが予想されます。AIによるデータ分析には、コンテナの特性データが用いられ、これに基づいた荷役計画が立てられるため、従来の方式では考慮しきれなかった要素まで考慮された最適な計画が可能になるのです。

効率化と持続可能性

三社が目指すのは、効率的なターミナル運営だけではありません。AIを用いることにより、港湾物流体制の持続可能性の向上や労働環境の改善にも貢献することができます。労働者にとっても、安全かつ快適な作業環境が整うことが期待されており、結果的には社会的な課題解決にもつながると考えられています。

これからの港湾業務

このプロジェクトは、単なる技術導入にとどまらず、港湾業務全体の仕組みを革新するものと位置付けられています。AI技術がコンテナの荷役や配置に関する計画に活用されることで、現場のスタッフがより戦略的な業務に専念できるようになり、業務全体の質が向上することが期待されています。2026年2月まで、実証実験が続く予定で、今後の進展に注目が集まります。これにより、神戸港が中核となる新たな物流モデルの確立が待たれます。港湾業界に革命をもたらすこのプロジェクトが、どのように形になるのか、私たちも、その成果を楽しみにしています。