室内緑化の心理効果が科学的に証明されるparkERsの挑戦
近年、室内での植物の役割が見直されていますが、その中でも特に注目を浴びているのが、株式会社パーク・コーポレーションの空間デザインブランド「parkERs」です。彼らは2019年から行われている、トヨタ自動車や豊田中央研究所、パソナ日本総務部の共同研究において、「植物と共生する空間が人間にもたらす効果」の研究に協力してきました。この研究の成果として、植物の葉の形状が心理に与える影響が明らかにされ、オランダの学術誌「Building and Environment」に論文が掲載される運びとなりました。
研究の背景と目的
parkERsは、設定やデザインによって空間に「公園のここちよさ」をプラスすることを目指してきました。独自の樹種マップをトヨタ自動車とパソナ日本総務部に提供し、葉の形状に基づいた植物の特徴を数値化し、実験的にその効果を証明することが重要だと考え、トヨタ自動車やパソナ日本総務部への協力を開始しました。この研究は、視覚的な印象と植物の特性をリンクさせ、使用場面に適した植物を選定するための新しい手法を提案しています。
葉の形状が与える印象
共同研究の成果の一つとして、葉の形状の違いが人々に与える心理的影響が明らかになりました。例えば、細長い葉の植物は「リラックス」をもたらし、逆に幅広い葉の植物は「活力」を促すことが実証されています。この知見は、今後のウェルビーイングを向上させる室内空間づくりにおいて大きな役割を果たすでしょう。植物の選定がより効果的に行えるようになれば、心地よいと感じられる空間を作り出す手助けができるのです。
樹種マップの活用
parkERsでは、2016年に独自の樹種マップを作成しました。このマップは、植物の葉の「大小」や「直線的・曲線的」という二つの軸で様々な樹種を分類したものです。これにより、空間の表現したいイメージに合わせて、適切な植物を選ぶことが可能となりました。
実験空間の具体例
この研究を直接反映させたのが、トヨタ自動車の未来創生センター内に設けられた実験空間「Genki-tron」と「Genki-office」です。「Genki-tron」では、温度、湿度、風、光を制御できる環境で点、面、線のそれぞれの植物を使い、参加者が数分から数時間滞在した際の心理的な効果を測定しました。一方、「Genki-office」では、数日から数週間の滞在を通じて、植物がもたらす効果を長期間にわたり検証することを目指しています。
今後の展望
以上のように、parkERsの研究成果は、感性と科学的根拠を結びつける新しいアプローチを示しています。今後も心地よい空間を提供し、より多くの人々が植物のもたらす安らぎに触れることができるよう進化を続けます。これからの室内環境デザインにおいて、植物を取り入れる重要性がますます高まることは間違いないでしょう。
詳細な研究成果は、学術誌「Building and Environment」でもご確認いただけますので、ぜひご覧ください。研究のURLはこちらです:
Subjective mapping of indoor plants based on leaf shape measurements to select suitable plants for indoor landscapes
心地よい空間作りに興味がある方、ぜひ一度チェックしてみてはいかがでしょうか。