江戸時代から続く伝統工房「染司よしおか」
日本の染色文化の中でも特に歴史のある「染司よしおか」は、江戸時代に創業以来、250年以上にわたりその技術を受け継いできました。本展覧会では、この京都の染色工房の足跡を辿り、六代目当主である吉岡更紗氏の現代的な挑戦を紹介します。
展覧会の概要
「染司よしおか」は、草木や花から自然の美しい色を引き出し、麻、絹、木綿、和紙といった多様な素材を染め上げることを業としています。自然の恵みを尊重し、その色彩には深い感性が宿っています。特に、古文書や染織品の研究を通じて、日本の伝統色を復興させる取り組みを行っている点が特徴です。
本展では、過去の技術を探りつつ、先代の精神を受け継いだ吉岡更紗による新たな染色の可能性を探る展示が行われます。彼女の取り組みの中には、古社寺の伝統行事を支える役割があり、具体的には薬師寺の伎楽装束の再現や、東大寺の修二会のために制作された椿の染和紙などが含まれます。
美しい再現とひらかれる世界
源氏物語の中でも描かれているような平安時代の衣装の色彩には、当時の美意識が色濃く表れています。宮中で身に着けられる着物には、季節に応じた組み合わせの楽しみがあったため、衣装に用いられる色は非常に重要でした。特に、草木染めで再現された源氏物語の衣装は、当時の貴族たちの優雅な姿を想像させます。
この展覧会では、そうした美しい衣装を支えてきた染司よしおかの技術や、吉岡更紗氏の新たな試みを目にすることができます。彼女は、伝統的な技法を用いて新しい作品を創作し、現代の生活空間に取り入れることを目指しているのです。
展覧会の基本情報
- - 会場: 三鷹市美術ギャラリー(東京都三鷹市下連雀3-35-1 CORAL 5階)
- - 開催日: 2025年11月29日(土)〜 2026年2月1日(日)
- - 観覧時間: 午前10時〜午後8時(入館は午後7時30分まで)
- - 休館日: 月曜日、1月13日(火)、年末年始(12月30日〜1月4日)、1月12日(月・祝)は開館
- - 観覧料: 一般800円、65歳以上・学生500円、中学生以下無料
- - 主催: 三鷹市美術ギャラリー、日本の色染司よしおか、株式会社青幻舎プロモーション
この日本の色をさまざまな角度から楽しむことができる展覧会は、染色技術の未来を考えさせられる貴重な機会です。ぜひ、現代に息づく染色の美と技術を体感しに、三鷹市美術ギャラリーに足を運びましょう。