自治体の未来を変えるDX特集
一般社団法人自治体DX推進協議会が発行する『自治体DXガイド Vol.7』は、特集「庁内DX改革最前線」をテーマに、デジタルトランスフォーメーション(DX)の現場に迫ります。DXの実施により、業務の効率化だけでなく、組織全体の進化を目指す自治体の取り組みを深く掘り下げます。
庁内DXの進化とは?
庁内DXとは、デジタル技術を利用することで業務の電子化やペーパーレス化を推進するだけでなく、組織自体の進化を図ることを意味します。限られたリソースを最大限に活用し、地域住民に寄り添ったサービスを実現することを目指して、多くの自治体が内面的な改革に挑戦しています。
小規模自治体の成功例
特集では、福島県昭和村の総務課企画創生係の小林勇介様の事例に焦点を当てます。昭和村は人口1,000人の小さな村ですが、職員が自らローコード・ノーコードの手法を用いて294のアプリを開発するなど、住民に寄り添った庁内DXを実現しました。超過勤務の申請から防災行政無線の管理まで、様々な業務にAIを活用し、「住民と向き合う」サービスを創出したいと考えています。
AI活用による新たなサービス
福岡県宮若市での実証実験にも注目です。プレイネクストラボの鈴木勝様は、AIを使ったLINEコンシェルジュによって住民の問い合わせを軽減するシステムを導入しました。これにより、職員同士の情報共有も円滑になり、業務効率化が図られています。
生成AIの活用
また、川口弘行合同会社の川口弘行様が提唱する生成AIの新発想も重要です。通常の生成AIでは精度が8割程度にとどまる場合が多い中、特定の分野に特化したAIを組み合わせることで、その課題を打破するサービスを開発しています。これにより自治体職員が本当に必要とする情報の提供を可能にします。
組織を可視化する
さらに、株式会社モザイクワークの板垣寛様は、組織内のコミュニケーションを可視化するツール『モノサシ』を紹介。これは、信頼関係やスキル継承性を4つの側面から分析し、データに基づいた組織改革を後押しします。
攻めのDXと変革
下呂市のCDO補佐官、長尾飛鳥様が描く「攻めのDX」も見逃せません。市役所内部から生まれたDXリーダーは、民間企業との協働やデジタル郵便の導入を通じて市民サービスの革新に挑んでいます。
未来を見据えたDX戦略
最後に、東京都江東区CIO補佐官の三上泰地様が描くDX戦略は、2040年代における労働人口の減少を見据えた長期的なビジョンとなっています。令和9年度までに行政手続きのオンライン化を100%目指す計画もあり、職員のサポートを通じて現場のDX推進を図ります。
まとめ
このように、自治体DXは組織の枠を超えて地域全体の持続可能な経営に寄与する可能性を秘めています。『自治体DXガイド Vol.7』では、これらの取り組みを通じて新しい行政の姿を探り、今後の自治体の在り方を考えていきます。ぜひ、この特集を通じて、多様なアプローチに触れ、未来の地域社会へのヒントを得ていただければ幸いです。