近年、EC市場の急拡大に伴い、クレジットカードの不正利用問題が深刻化しています。この課題への対応を目的に、株式会社YTGATEが発表したのが、新たに数値化された「カード決済承認率」に関するレポートです。これは、EMV 3-Dセキュア導入後の承認率の変化を詳細に解説したもので、特に不正利用リスクの増大とそれによる取引機会の損失を実態として示しています。
EMV 3-Dセキュアとは?
EMV 3-Dセキュアは、オンライン取引時のセキュリティを高めるための技術です。クレジットカードを使った決済時に、追加の認証ステップを設けることで不正利用を防ぐ役割を果たします。これにより、消費者にとっての安心感は増す一方で、報告されたレポートでは、導入に伴う決済承認率の低下という新たな課題も浮上しています。
レポートの詳細
キャッシュレスセキュリティレポート2025年次版は、YTGATEと株式会社リンク、かっこ株式会社の共同作成により、クレジットカード情報流出事件やECにおける不正利用傾向が詳しく分析されています。YTGATEの調査によると、EMV 3-Dセキュア導入前後での承認率の推移など、いくつかの新たな指標が加わり、より坐実なデータが示されています。
新指標の内容
- - カード決済承認率の変化:EMV 3-Dセキュア導入前後の承認率推移を明示。
- - エラーコード別の否認理由:何が問題だったのかを詳しく分析することで、事業者が解決策を見出しやすくします。
- - カゴ落ちの影響:カート放棄の状況が可視化され、どこで消費者が購買をやめてしまったのかが明らかに。
- - 消費者調査による離脱率:消費者の動向を把握し、さらなる改善策に繋げます。
不正利用の深刻な実態
日本におけるクレジットカード不正利用の被害は急速に増加しており、2024年には過去最高額に達すると予測されています。特に、ECサイトを通じた不正利用は危険度が増しており、従来の決済時のセキュリティでは対処できない状況になっています。そのため、EMV 3-Dセキュアの導入が強く求められるようになっていますが、一方でこの認証ステップが増加することによって意図せぬ決済エラーも発生しています。
事業者が直面する複雑な課題
EC市場の拡大と共に事業者が抱える課題は、単なる不正利用対策だけではなく、承認率の向上やカゴ落ちの抑制といった多面的なものです。このレポートが示すところによると、EMV 3-Dセキュア導入後の承認率低下が、EC事業者やカード会社、消費者の三者にとって重要な問題であるということが明らかになりました。
まとめ
YTGATEが発表したキャッシュレスセキュリティレポート2025年次版は、今後のEC市場においてますます重要な役割を果たし、事業者が不正利用対策を強化しつつ、取引機会を損失しないための指針となることでしょう。新たに加わった指標をもとに、気付きや改善案を見出しながら、安心・安全な取引環境の構築が期待されます。