エンベデッド・インシュアランス2.0に迫る
最近、保険業界では新しい概念として「エンベデッド・インシュアランス(Embedded Insurance:EI)」が注目を集めています。この EIとは、日常生活に自然に組み込まれる保険形態であり、生活の各瞬間に必要な保障を提供することを目指しています。PwC著の書籍『エンベデッド・インシュアランス2.0:成功の要諦』には、Sasuke Financial Lab株式会社のCFO南田茂照氏を含む専門家による対談が掲載されており、今後の保険業界の展望について深く掘り下げられています。
本書の特徴
本書では、保険業界のリーダーたちが集まり、これからの保険が向かうべき方向性を語り合っています。対談に参加したのは、PayPay保険サービスの代表取締役CEO、兵頭裕氏、そしてネオファースト生命保険の取締役常務執行役員、久野剛史氏。三人の実務者がそれぞれの視点から、EIの可能性と直面する課題を論じています。
特に注目すべきは南田氏の発言です。「生活の流れの中で自然に届く保険」を目指すという考え方は、従来の保険選びの概念を覆すものです。今後は、ライフイベントを起点にしたUX(ユーザーエクスペリエンス)革新が求められています。
EIの進化とは?
これまでの保険は、顧客が意識的に選ぶものであり、時には生活において忘れられがちでした。しかし、エンベデッド・インシュアランスは、顧客の生活の中で自然に必要とされるタイミングで、保障が提供される新たなモデルです。たとえば、旅行中に急に必要となるキャンセル保険や、スマートフォンを購入する際の保証がそれにあたります。これにより、保険はただの付随的なものから、生活に背中を押してくれる存在となるのです。
データ活用と新たな価値
兵頭氏は、データの重要性について強調しています。「データがあるからこその世界」を実現するためには、顧客の行動データを基にした新たなエコシステムが必要不可欠です。デジタル技術を駆使し、リアルタイムでのデータ分析を通じて、保険の提供方法を革新する必要があります。これにより、保険の選び方も変わり、顧客が自ら選択できる自由が広がります。
久野氏は「健康×デジタル」というテーマを提唱し、デジタル技術を活用した健康管理と保険を結びつける新たな付加価値を示唆しています。健康データを基盤にした保険提供は、より個別に応じたサービスを生み出します。
これからの保険選び
南田氏は、「ライフイベントを軸にした新しい保険UXのスタンダードを築きたい」と語っています。近い将来、保険は選ばれるものではなく、日常生活の中で当たり前に存在するサービスへと変わるでしょう。私たちが求めるのは、分かりやすく、安心して利用できる保険なのです。
おわりに
本書『エンベデッド・インシュアランス2.0:成功の要諦』は、これからの保険業界がどのように変わるのか、その仕組みや未来を知る上で欠かせない一冊です。新しい潮流を理解し、これからの生活に役立てるための知識を深めるためにも、是非手に取ってみてください。