東京建物と森林総研が共同研究を開始
都市の喧騒の中でも「大手町の森」は心静かな憩いのスペースとして、多くの人に愛されています。この緑地が身心の健康にどのように寄与しているかを明らかにするため、東京建物株式会社と国立研究開発法人森林総合研究所が新たに研究プロジェクトを始動しました。
この共同研究は「大手町タワー」の敷地内に広がる「大手町の森」にて実施され、オフィス街である大手町での生活と仕事におけるストレスの軽減やリフレッシュ効果に焦点を当てています。研究の目的は、緑地が人々のウェルビーイング、つまり身体的・精神的健康の向上にどのように貢献するかを科学的に分析することです。
研究の背景と目的
2014年に設立された「大手町タワー」の敷地の約3,600㎡を占める「大手町の森」は、自然の森に近い形で管理されており、地域住民や働く人々に憩いの場を提供しています。しかし、都市緑地が実際に健康に与える影響については、具体的なデータが不足していました。
そこで、本研究では大手町周辺のワーカー30名を対象に、ストレスホルモンや交感神経の活動などの生理データを計測し、さらに心理調査も実施します。これにより、「大手町の森」を訪れることで得られる心身の影響を解析します。
研究の実施内容
研究は2025年8月から2026年3月末にかけて行われ、以下の内容を実施します:
1. 「大手町の森」がウェルビーイングに与える影響を、ストレスホルモンや交感神経活動のデータを用いて検証します。
2. 森の温熱環境をWBGTやPMVの指標を使って測定し、気温の影響を調査します。
「大手町の森」の特徴
「大手町の森」は2013年より本格的に管理され、周辺の複雑な生態系を保全しつつ、さまざまな植物や昆虫が息づいています。ここには国や東京都のレッドリストに掲載された希少種も多く見られます。このような多様性は、訪れる人々に潤いを与え、ウェルビーイングの向上に寄与する要素と考えられています。
また、ヒートアイランド現象を緩和し、災害時の雨水の管理に寄与することもこの森の重要な役割です。土壌と集水槽を活用した雨水の一時貯留により、ゲリラ豪雨に対する備えもしています。
緑地とウェルビーイング
この研究を通じて、都市緑地の本質的な価値が浮き彫りにされることが期待されています。生物多様性の保護と人々のウェルビーイングの両立を目指し、さらに多くの人々に都市内の緑の重要性が理解されることを願っています。確固たるデータに基づいて、今後の都市計画や環境保全の取り組みにも大いに貢献することでしょう。
まとめ
「大手町の森」は、都市の中心に位置しながらも自然との共生を実現しています。東京の都市生活における緑地の有用性を科学的に証明し、新たな取り組みの成果が集中することに期待が高まります。都市緑地が人々の生活の質向上に結びつくことを示す本研究は、素晴らしい成果をもたらすことでしょう。