東海地区自動車産業におけるサプライチェーンリスク管理の実態
株式会社Specteeが実施した調査によると、東海地区の自動車製造業に勤務する経営層及びサプライチェーンマネジメント担当者の多くが、供給網のリスクに悩まされていることが分かりました。調査対象は、愛知県、岐阜県、静岡県、三重県の105名で、結果からは具体的な課題が浮き彫りになっています。
重大な影響を受けるサプライヤー
回答者の約半数は、サプライヤーの問題によって生産ラインに影響を受けたと報告しています。特に、自然災害や事故などの外部要因による影響が及びやすいため、企業は懸念を持つことが多数を占めています。具体的には、47.6%の人々が生産ラインに何らかの支障が出たと答え、その多くは数日間にわたって影響が及んだとのことです。
被災状況把握のスピード
被害状況の把握について、54.3%が2日以上を要するという回答があり、これはサプライヤーへの個別連絡や外部報告を待つことが主な原因とされています。このような遅延は、生産ラインを守るための迅速な対応を困難にし、企業の競争力に影響を及ぼします。
さらに、サプライチェーン全体を可視化する仕組みが整っていない現状も浮き彫りになりました。全体で81.0%が半日以上の把握時間が必要であり、特にTier2、Tier3の情報まで把握していない企業の多さが目立ちます。
サプライチェーン・リスク管理の現状
南海トラフ地震のような大規模自然災害に備えた事業継続計画(BCP)の整備状況について、54.3%が「策定済み」と応じる一方、4割近くは自信がないと回答しています。これに対して、十分な対応力を持っていると答えた企業は7%にとどまり、多くの企業が不安を抱えていることも浮き彫りです。
複雑化するサプライチェーン
調査によると、82.9%の企業がサプライチェーンが複雑化していると感じており、充分に把握できているとしたのはわずか11.4%でした。この感覚からも分かるように、現実的には取引が複雑化する一方で、それに呼応した管理体制の整備が追いついていないのが現状です。
また、業界団体や行政のガイドラインを頼りにリスク管理を行っている企業が48.6%に達する一方で、自社主導の取り組みを進めている企業は32.4%と少ないため、共通基準の遵守に留まる現状も見受けられます。
DX化の道のり
デジタルトランスフォーメーション(DX)化については、業界全体での導入が低調で、専用システムを活用している企業はわずか17.1%に過ぎません。その障壁として最も多く挙げられたのが人員不足で、これはDX化を進める上で大きな課題となっています。
まとめ
今回の調査から、東海地区の自動車関連製造業が今後のリスク管理に対して非常に慎重でありながらも、実行力が乏しいという課題が浮かび上がりました。事業継続計画は形作られているものの、実行力やサプライチェーンの可視化、迅速なリスク把握の体制が不十分であることが、業界全体の今後の課題として残ります。
いかにしてこれらの問題を解決し、日本のものづくりを支えていけるかが求められていると言えるでしょう。