老舗とんかつKYKが自社アプリで常連顧客を育成
関西の人々に愛されるとんかつ専門店「KYK」は、顧客との関係をさらに深めるために、自社アプリを導入しました。本記事では、その成功の背景や導入効果について詳しくご紹介します。
1. KYKの設立と事業内容
KYKを運営する株式会社曲田商店は、1946年に設立された老舗の飲食サービス業です。大阪に本社を構え、とんかつレストランをはじめ、カレーハウス、お弁当・惣菜の販売を行っています。特に、同店のとんかつはその品質と味で多くのファンを魅了し続けています。
2. 自社アプリ導入の背景
このアプリ導入の背景には、従来の紙スタンプカードの運用負担やLINE公式アカウント依存のリスクがありました。毎年10万枚を発行・回収する必要があり、顧客情報の管理も困難でした。またLINEでのクーポン配信が制限されていたため、ターゲットを絞った効果的な情報発信ができずにいました。さらに、レジでのスタンプ押印に遅れが生じることで、従業員のストレスやクレームも増加していました。
営業部の部長、山田良樹氏は、「顧客の愛着がKYKではなくLINEに向くのは避けたかった」と説明します。彼は、自社の顧客資産を確保するためにアプリの導入を決意しました。
3. 自社アプリの特徴と導入の決め手
KYKが選んだアプリ開発プラットフォーム「iSIN」は、300以上の標準機能を持ち、自由にカスタマイズ可能です。山田氏は「アプリは初期ダウンロードの苦戦を許容しつつ、長期的に自分たちの顧客資産を蓄積できる点が魅力」と話します。
実際のプロジェクトは、営業部とシステム部の2名体制で行われ、iTANのサポートを受けながらスムーズに進行しました。アプリ導入から約半年で、総ユーザー数は34,116人に達し、月間アクティブユーザー(MAU)は11,000人を記録。特にクーポン利用率は29.26%と高く、LINEと比較して19ポイントも上昇しました。
4. 導入後の顕著な効果
アプリの導入により、顧客との会話が活性化し、「アプリを教えてくれてありがとう」といった声が増えました。レジでのクレームはほぼゼロとなり、顧客からのポジティブなフィードバックが増加しました。このようなデジタル化によって、従業員のロイヤリティも向上し、店舗の接客品質が向上しました。
また、アプリによって顧客情報がデジタルで管理できるようになり、顧客の「貯める楽しさ」や「使う楽しさ」を実現することができました。
5. 今後の展望とアドバイス
KYKは、今後もアプリを活用した施策を強化する考えです。ポイントキャンペーンやデータを活用したパーソナライズ配信など、顧客満足のさらなる向上を目指しています。アプリ導入を検討する飲食店に対しては、使いやすさを重視し、顧客とのコミュニケーション機会を作ることが重要とアドバイスしています。これまでの成功体験を基に、KYKは更なる成長を目指しています。
KYKの事例は、地域の飲食店をはじめとする企業がアプリ導入を検討する際の参考となるでしょう。自社アプリの導入を通じて、顧客との関係をより深め、さらに多くの常連顧客を育てていくことが期待されます。