製薬業界初の生成AI活用セミナーが開催され、未来の業務改革へ

2025年9月10日、東京都豊島区に本社を構える太陽ホールディングスの子会社、ファンリードが『生成AIで拓く、製薬バリューチェーンの未来』をテーマにしたセミナーを開催しました。このセミナーは、製薬業界のマネジメント層を対象にしたもので、新たなテクノロジーを業務に取り入れる方法を考える機会となりました。製薬企業において、品質や規制対応と生産性の両立、さらにデータ活用のガバナンスが求められる中、経営陣の意思決定が非常に重要です。特に、生成AIの活用が人材育成や業務最適化にどのように貢献するか、という観点からも注目が集まりました。

セミナーには、太陽ホールディングスの常務執行役員・最高デジタル責任者の俵輝道氏や、ファンリード社長の小林慶一氏、さらには太陽ファルマや太陽ファルマテックの代表者も出席し、彼らの経験に基づく知見が共有されました。また、ゲストスピーカーとして、ＫＭバイオロジクス株式会社の松本隆之氏、熊本保健科学大学の蠭田修氏も招かれ、デジタル技術の導入についての意見が交わされました。

太陽ホールディングスは、2021年の長期経営構想『Beyond Imagination 2030』の中で、デジタルトランスフォーメーション（DX）の重要性を掲げ、グループ全体で問題視されている課題に対処しています。その中でも、ファンリードはその中核として、特に医療・医薬品事業における生成AI活用に力を入れています。具体的には、ファンリードは医療・医薬品事業における経営課題を解決するために、生成AIを活用したSaaS型のナレッジマネジメントシステム『STiV（スティーブ）』を開発しました。このシステムは、業務の属人化を防ぐため、組織全体で知識を共有し、技術継承を加速することを目的としています。セミナー終了後、参加企業を対象に実施したアンケート調査では、参加者の満足度が平均4.3と高い評価を得ており、自社で生成AIツールを導入している企業は約3割にとどまる中、業務での活用に課題を感じている企業の割合は約7割に上ることがわかりました。

セミナーでは、参加者からさまざまな質問が寄せられ、特に生成AIが業務に与える影響に対する関心が高まりました。質疑応答では、STiVの導入による成果や人材育成における懸念事項についても話し合われました。参加者が示した懸念の一つには、生成AIの導入によって現場での考える力が育ちにくくなるのではないかというものでした。この点に関して、ＫＭバイオロジクスの松本氏は、生成AIをナレッジ収集の補助として利用し、最終的な判断は人間が行うべきだとし、その根拠を確認することの重要性を強調しました。

全体として、生成AIの導入は製薬業界における職場環境や業務の効率化に寄与するものの、その活用方法については慎重に取り進める必要があるとの印象を受けました。今後もこのようなセミナーを通じて業界全体のデジタルトランスフォーメーションが加速し、より良い生産環境が整うことが期待されます。ファンリードは、これからも生成AI活用に向けたサポートを充実させ、他企業との協働を進めていくことで、製薬業界のさらなる発展に寄与する姿勢を示しています。