ネット詐欺リポート6月度:フィッシングサイトの状況
最近のデジタル社会において、オンラインの安全はますます重要になっています。6月度のネット詐欺リポートによると、フィッシングサイト、特に大和証券とAppleを標的とした攻撃が急増しており、警戒が必要です。
大和証券のフィッシングサイトが急増、前月比8倍に
2023年6月、大和証券に関連するフィッシングサイトの数が急増しました。前月比でなんと8倍の増加です。証券関連のフィッシングは最近増加傾向にあり、4月には楽天証券、5月にはSBI証券、そして6月には大和証券がターゲットになりました。この動きから、犯罪者は次々とターゲットを変更していることがうかがえます。
金融庁のデータによれば、2025年1月から6月の不正取引額は5000億円を超え、特に5月の約2000億円が6月には380億円に減少しましたが、それでも依然として大きな金額です。この傾向をみても、引き続き注意が必要です。
Appleのフィッシングサイトが急増
Appleに関連するフィッシングサイトも同様に増加し、7倍以上となっています。手口は多様で、「アカウントの強制停止」や「支払い方法の更新」を名目に利用者を誘導し、個人情報や認証情報を詐取しようとしています。また、Appleサポートを装った金銭詐取の手口も増加しており、巧妙化している点に要注意です。
フィッシングサイトブランドランキング
6月のフィッシングサイトブランドランキングでは、なんとAppleが首位に。2位のSBI証券も高止まりしており、特に交通系サービスのフィッシング攻撃が仕事始めの夏休みシーズンに向け増加する可能性があります。最近ではANAのフィッシングサイトも急増しており、今後の動向から目が離せません。
フィッシングサイトカテゴリ別構成比
Appleのフィッシングサイトの増加により、Webサービスカテゴリは20ポイント以上も増加しました。一方で、証券系フィッシングサイトは7ポイント減少していますが、実際の数は増加しているため注意が必要です。
フィッシング詐欺被害防止のポイント
詐欺被害を防ぐためには、いくつかのポイントを意識することが重要です。まず、メールやSMSに記載されたURLが正規のものであるか確認すること。リンクをクリックする前に、直接公式サイトを検索してアクセスすることが推奨されます。また、個人情報やクレジットカード情報を要求されるメールには特に警戒しましょう。メールでの問い合わせをすることは、クレジットカード会社が行わないため、怪しいと感じたら慎重に行動することが重要です。
次に、ログインIDやパスワードの使い回しを避けることです。異なるサービスで同じ認証情報を使用していると、フィッシング攻撃によって情報が漏洩した場合、他のサービスまで危険にさらされます。ここでの対策として、セキュリティソフトやネット詐欺専用ソフトの導入が推奨されます。
森達哉教授のコメント
ウィス・サイバーセキュリティの専門家である森達哉教授は、最近のフィッシングの急増について、「特にAppleを狙った攻撃が急拡大している」と警告しています。また、攻撃者がターゲットを次々に変えている点は、継続的な注意を促しています。普段利用するサービスについても「自分も狙われる可能性がある」ことを意識し、冷静な判断を求められると強調しています。家族や周囲の人々と情報を共有することで、フィッシング詐欺の被害を未然に防ぐことが可能です。
監修者プロフィール
森 達哉
早稲田大学 理工学術院 教授
「令和7年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)」受賞
NICTサイバーセキュリティ研究所 招へい専門員
これからの季節、旅行や帰省を控えた方も多いでしょう。決して他人事ではないフィッシング詐欺のリスクに気を付け、セキュリティ対策を強化して安全なネットライフを送りましょう。