インクルーシブ合唱団「ホワイトハンドコーラスNIPPON」が受賞
東京都中央区に本社を置く一般社団法人El Sistema Connectが運営する「ホワイトハンドコーラスNIPPON」は、2月6日、やなせたかし氏の誕生日にあたる日に、名誉ある『第3回やなせたかし文化賞』の受賞を発表しました。本賞は子どもたちのための芸術文化を育成する優れた活動を表彰するもので、ホワイトハンドコーラスの活動がその基準を満たしたことが評価されました。
やなせたかし文化賞は、子ども向けの文学、絵本、音楽など、様々な分野で子どもたちの芸術文化の向上を目指し、特に才能のある個人や団体を応援することを目的としています。これは、やなせたかし氏が愛した子どもたちに「希望の歌」を届け続けていることと強く結びついています。
音楽の新しい形
受賞にあたって、選考員の里中満智子氏は「体を使って音を伝える」ことの重要性に言及しました。また、作曲家の早川史郎氏は、ホワイトハンドコーラスの活動が「人間は音楽をどのように受容するのか」といったテーマに挑んでいることに賛同し、より多くの子どもたちに音楽の光をもたらす重要な役割を果たしていると述べました。このように、ホワイトハンドコーラスNIPPONは音楽による新しい体験を子どもたちに提供することで、より深い音楽理解を促進しています。
絶望の先にある希望
ホワイトハンドコーラスNIPPONでは、やなせたかし作詞の『希望の歌』を手がかりに、歌唱の手話にも取り組んでいます。『希望』と『夢』の違いを話し合うことで、音楽の持つメッセージをより深く理解し、子どもたちの心により強く響くことを目指しています。特に、ネガティブな状況から生まれる『希望』の重要性についての意識を高め、生活や歌の中でそのメッセージを大切にし続けたいという思いが強まっています。
「ホワイトハンドコーラスNIPPON」は、ろう者や難聴の子どもたち、全盲や弱視の子どもたち、車いすを使う子どもたちなど、誰もが音楽を楽しむことができるインクルーシブな環境を提供しています。その理念は南米ベネズエラの「エルシステマ」にも共鳴するもので、2021年から活動が始まりました。
受賞を迎えたコロンえりか芸術監督は「希望は音楽が奏でられる限り生まれ続ける」との信念を語り、苦境を楽しみに変える音楽の新しい形を模索しています。彼女たちの活動は、障がいの有無に関わらず、すべての子どもたちを包み込む、より良い未来を目指しています。
これからの展望
ホワイトハンドコーラスNIPPONの受賞は、やなせたかし氏を愛し続けている多くの人々と、未来の子どもたちをつなぐ架け橋としての役割を果たしています。この受賞を機に、さらなる国際的な交流や展示の機会が広がることが期待されており、実際に2024年にはオーストリアのバリアフリー国際賞『ゼロ・プロジェクト・アワード2024』を受賞する予定です。
受賞の喜びを抱きながら、ホワイトハンドコーラスNIPPONは今後も多様な子どもたちが共に音楽を楽しみ、愛を届ける場として活動を続けます。そして、こうした活動を通じて、より多くの方々に喜びを広げることを目指しています。4月12日には授賞式も予定されており、さらなる期待が寄せられています。
ホワイトハンドコーラスNIPPONの詳細は、公式ウェブサイトやInstagramでご確認ください。