2025年 グローバルスポーツレポートの発表
ニールセンスポーツジャパンが、2025年に向けたスポーツ界の新たな潮流を示す「2025年 グローバルスポーツレポート」を発表しました。スポーツを取り巻く環境の急速な変化に対応するため、ブランドやマーケターが直面する現代のファンのニーズを掴むための重要な洞察が詰まっています。このレポートでは、特に注目すべき三つのメガトレンドが挙げられています。
トレンド1: サッカーの影響力
最初のトレンドは、サッカーが持つ圧倒的な人気とそれによる市場への影響です。現在、世界中で51%の人々が自らをサッカーファンと認識しており、特にアジア圏の市場が急成長しています。具体的には、中国のサッカーファンは約2億6千万人、インドは約1億4千万人と、多くのファンを抱えています。特にサウジアラビアやメキシコなどは、ファン比率が非常に高く、サッカーの市場価値がさらに増すことが予想されています。
このレポートの特筆すべき点は、サッカーファンがスポンサーブランドに対して非常に受容的で好意的であるということです。67%のサッカーファンは、応援している大会のスポンサーブランドをより魅力的に感じると回答しています。これに対し、一般層の54%という数字は、サッカーファンのブランドに対する強い意識を物語っています。また、66%が興味のある事柄のスポンサー名を記憶しやすいと答えており、スポンサーへの信頼度も高いことが確認されています。
特に2026年のFIFAワールドカップを控え、米国のサッカーファンの購買力が注目されています。76%がミレニアル世代やZ世代であり、68%は「品質と価格が同じであれば、スポンサー企業の商品を選ぶ」とする積極的な姿勢を示しています。
トレンド2: 女子スポーツの急成長
次に、女子スポーツの躍進についてです。近年、女子スポーツは急速にファン層を拡大しており、特に2024年には世界の一般層の50%が女子スポーツに興味を持つと予測されています。米国のWNBAファンは、過去2年で31%以上成長し、女性ファンの比率も増加。つまり、新たなファン層が形成されていることを示しています。
この女子スポーツファンは、消費意欲も高く、特にファンタジースポーツ関連サービスへの購買意向は53%に達しています。このように、女子スポーツは新しい市場の可能性を秘めており、企業が積極的に関わるべき時代に突入しています。イングランドの女子サッカーリーグの事例や、マンチェスター・シティWFCの生理用アンダーウェアブランドとのパートナーシップなど、ブランドとファンがより密接に結びつく機会が増加しています。
日本においても、女子スポーツ市場の潜在能力は約3兆円に達する可能性があるとしています。
トレンド3: メディアの多様化と新たな価値の創出
最後に、メディアの変革についてです。ストリーミングサービスやソーシャルメディアの普及は、スポーツの視聴スタイルを変革しています。特に過去2年間で、50歳以上のファンのストリーミング視聴は21%も増加しており、世代を超えたファンの獲得が進んでいます。この環境の変化は、ファンがいつでもどこでもスポーツにアクセスできる機会を提供し、さらなるエンゲージメントを生んでいます。
新しい競技の誕生も、このメディアの変革によって加速しています。インドアゴルフリーグ「TGL」は、若年層の新規ファン獲得に成功しており、その視聴者の32%は従来のPGAファンではありません。これは、全く新しいファン層をゴルフに引き込む成功事例といえます。
結論
2025年 グローバルスポーツレポートは、スポーツ界の構造的かつ不可逆的な変化を示しています。ファンの関与の仕方、コンテンツの享受方法、ブランドとの関係性が根本的に異なりつつあります。成功の鍵は、データを活用し多様化するファンの心を理解し、それぞれのプラットフォームでの共感を呼び起こすストーリーを届けることです。これからのスポーツビジネスにおいて、このレポートの洞察が大いに役立つことでしょう。