ディープCストアが目指す新たな脱炭素社会
オーストラリア発のCO₂回収貯留プロジェクト「ディープCストア」が、インキュベイトファンドから約3.5億円の資金調達を行いました。これにより、世界初の越境型浮体式CO₂回収貯留ソリューション「CStore1」の実現にさらに近づいています。このプロジェクトは、日本とアジア太平洋地域の産業から年間約300万トンの液化CO₂を引き取り、北西オーストラリア沖の自社保有の大規模CO₂貯留鉱区に輸送、圧入・永久貯留する仕組みです。
CCSの重要性と背景
近年、気候変動の影響が多くの地域で顕在化している中、国際エネルギー機関(IEA)は脱炭素を実現するために必要なCO₂貯留量を試算しました。一般的に、日本での目標は年間約1.7億トン、世界全体では約51億トンとされています。しかし、日本国内には現在稼働しているCCS施設がなく、国際的にもこうした技術が活用されている例は少ないのが現状です。
日本政府は、2024年2月に「CCS事業法」を閣議決定し、さらなる投資と試みを推進する動きを見せていますが、これに伴い、脱炭素化への強いプレッシャーが生じています。この状況下で、ディープCストアは他社が未開拓の沖合の帯水層をターゲットとし、独自の技術開発に挑んでいるのが特徴です。
CStore1の特長
「CStore1」は、マルチユーザー対応で複数の排出源からCO₂を受け入れられるシステムを採用しています。また、最小限のパイプライン距離を実現し、浮体式のハブ施設を利用することで、残存価値リスクを低減しています。さらに、グローバルに展開可能な拡張性を持つため、様々な地域への展開も視野に入れています。
# 事業進捗
ディープCストアは、J-POWERや他のエネルギー企業と連携し、アジア太平洋地域でのCCS技術の先駆者として位置づけられています。2024年8月には、J-POWER及びAzuliと共同検討契約を締結し、具体的なプロジェクトの商用化に向けた準備が整いつつあります。
創業者の情熱
代表取締役の車大仁(チャデイン)氏は、「この度の資金調達によって、CStore1を実現し、アジア太平洋地域の脱炭素化を推進することができることを大変嬉しく思います」と語っています。彼は兵庫県出身で、東京ガスやChevronでの経験を経て、ディープCストアを設立しました。彼のビジョンは、持続可能なエネルギー社会を具現化することであり、そのためにCCS技術の進化を促しています。
最後に
ディープCストアの前進は、脱炭素社会に向けた重要なステップです。新しい産業エコシステムを生み出し、日本だけでなく、アジア全体のエネルギー転換を牽引することが期待されます。このような動きが、将来的に持続可能な社会を形成するための基盤になることに大いに期待しましょう。詳しい情報は、公式サイトを参照してください。
ディープCストア公式サイト