第35回Bunkamura文学賞
2025-09-29 15:36:33

第35回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作『ロッコク・キッチン』の魅力とその背景に迫る

Bunkamuraドゥマゴ文学賞とは



Bunkamuraドゥマゴ文学賞は、1990年に創設された文学賞で、パリの「ドゥマゴ賞」の精神を引き継いでいます。毎年異なる選考委員が受賞作品を選出し、先進的かつ独創的な文学の可能性を探求しています。第35回目となる2025年度の選考を務めたのは、ノンフィクション作家・最相葉月氏です。今回の受賞作には、作家としての新たな視点が光る『ロッコク・キッチン 浜通りでメシを食う』が選ばれました。

受賞作『ロッコク・キッチン』の内容



この作品は、福島第一原発事故から13年が経過した福島県浜通りを舞台にしています。著者の川内有緒氏は、地域住民がどのように「食」を通じて日常を営んでいるかを追いかけます。中華丼や餃子などの家庭料理から、チャイやクラムチャウダーなど多様な料理が登場し、浜通りに息づく生活の記憶を描き出しています。

受賞者 川内有緒氏のプロフィール



川内有緒氏は1972年生まれ、国際協力分野での経験を積んだ後、フリーのノンフィクション作家として活動を開始しました。東京を拠点にして、評伝や旅行記、エッセイなど多岐にわたるジャンルを手掛けています。これまでにいくつもの賞を受賞し、その豊かなライティングは高く評価されています。

選考委員 最相葉月氏のコメント



最相葉月氏は選考委員として、川内氏の作品に感銘を受けたと述べています。選評では、川内氏の「あつかましさ」や、福島の人々と食のつながりを強調し、その情熱と興味を讃えました。彼女の視点は、作品全体に新鮮な光を当てており、今後の文学活動に期待が寄せられます。

受賞の言葉:美味しいスープを煮込んでいます



川内氏は受賞に際し、「美味しいスープを煮込んでいます」という言葉を記しています。原発事故後の福島に暮らす人々との関わりから、彼女は食をとおして地域の真実を知りたいと考えました。受賞時には、執筆中の原稿が「スープのようで美味しくなるかどうかもまだわからない」と緊張感を持ちながら語っています。彼女は浜通りの独特な風土と人々のさまざまな体験を丁寧に記録し、読者に強いメッセージを伝えています。

ドキュメンタリー映画の上映



川内氏の作品を元にしたドキュメンタリー映画『ロッコク・キッチン』も、2025年10月12日に「山形国際ドキュメンタリー映画祭2025」でプレミア上映されます。映画でも彼女が追いかけた「食」を通じて、地域の豊かさや課題を考えるきっかけが提供されることでしょう。

結びに



今回の受賞作『ロッコク・キッチン』は、福島の浜通りを舞台にした新しい生活史を描き出しています。本作はただの文学作品でなく、地域の人々の声や食の文化に対する深い理解を促す重要な作品として評価されています。川内有緒氏の次回作への期待が高まります。


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