テレビ番組製作会社の経営危機、2025年度調査結果の分析
一般社団法人全日本テレビ番組製作社連盟(ATP)は、2025年9月から10月にかけて実施した「経営情報アンケート」の結果を公開しました。この調査は、テレビ番組製作に関わる会社の経営実態を明らかにするもので、特に深刻な経営環境が浮き彫りとなっています。
深刻な収益悪化
アンケートに回答した企業の中で、売上高が100億円未満の企業においては営業利益が前年に比べて77.08%も減少し、3割以上が連続して赤字を計上していると報告されています。また、経常利益が連続赤字に陥っている企業は13.4%に達しており、倒産の危機感が広がっています。このような状況が続くと、業界全体の信頼性や未来に対する不安が高まっていくことでしょう。
価格転嫁の難しさ
物価上昇や人件費の高騰が叫ばれる中、ATPの調査では約75%の企業が価格交渉を行ったものの、「十分に転嫁できた」と回答した企業はわずか4.0%に過ぎません。この結果は、企業の収益が圧迫される一因であり、価格転嫁の壁が業界の持続可能な発展を阻む要因となっています。
人材確保の危機
調査では、志望者および応募者数の減少が顕著であり、84.2%の企業が「人件費が適正に支払われていない」との見解を示しています。このことから、将来を担うクリエイターの流出が懸念され、テレビ制作の現場が不断に変化する中で人材確保がより難しくなっていることがわかります。
構造的な課題
本調査によると、低い著作権保有率(NHK地上波で7.7%)や、必要な管理費が10%以下の企業が多く見られるなど、依然として厳しい契約慣行が続いています。これらの構造的な問題は、テレビ制作会社が経営の健全性を保つ上で大きな障害となるでしょう。
危うさの自覚
研究会座長である伊藤慎一氏は、「危うさを強く意識する必要がある」と述べています。彼は、テレビ制作の現場は制作スタッフが9割を占めていると強調し、クリエイターがテレビ番組の未来を担う重要な存在であることを訴えています。また、配信分野や海外展開に向けた構造的な変革が必要であり、総務省やNHK、民放テレビ局を含む関係機関からのさらなる理解と支援が重要であると指摘しました。
調査の背景
この調査は、ATPが発足させた経営情報調査研究会によって行われており、厳しい経営状況を明らかにするために、2012年度から続けられています。2024年度からは外部の有識者と共同で調査を行い、結果の信頼性を向上させる取り組みが始まります。
調査概要
- - 調査期間: 2025年9月17日~2025年10月10日
- - 対象年度: 2024年度
- - 調査対象: ATP正会員社(実施時の会員社数120社)
- - 回答数: 101社(回答率84.2%)
一般社団法人全日本テレビ番組製作社連盟は、東京や大阪にあるテレビ番組製作会社約120社が加盟する団体で、1982年に設立以来、放送文化の発展に寄与するための活動を行っています。今後の変化に十分な注意と対策が求められる時期に来ています。