日本精工のBCP改善プロジェクトの新たな展開
日本精工株式会社が事業継続計画(BCP)の改善に向けた新たなアプローチを取り入れました。これは、2011年の東日本大震災以降、企業が直面するリスクをより一層細かく分析し、経営資源に基づいた復旧目標を再定義するものです。
背景と目的
日本精工は1916年に設立され、国内外でのベアリング市場において主導的な役割を担っています。ただし、震災や新型コロナウイルスの影響を受け、ビジネスの持続性を確保するためには、BCPの内容を見直す必要がありました。従来の方針では、過去の経験則に基づく復旧目標が多く、さらなるリスクに対する準備が不足していることが課題とされていたのです。
ニュートン・コンサルティングの役割
この改善活動は、リスクマネジメントを専門とするニュートン・コンサルティングが支援を行い、1年半にわたる丁寧なプロジェクトを通じて実施されました。プロジェクトは三つのステージに分かれ、まずは現状のBCM(事業継続マネジメント)文書と活動の評価が行われました。この評価では、復旧目標が過去の経験則に依存していることや、対策と目標の不整合が指摘されました。
次に、経営層と共にリスク分析を実施し、復旧目標を決定しました。このステップでは、経営に関わる全ての層が参加し、事業環境を考慮したリスクと目標を策定しています。
ワークショップの実施
プロジェクトの最終段階では、主要な工場で現場ワークショップが開催されました。ここでは、経営資源に基づくアプローチに転換し、現場の担当者が自らの意見を出し合い、企業が直面する具体的な課題を検討しました。従来の地震中心の対応から、災害以外の事象にも柔軟に対処できる体制づくりを目指しています。この取り組みを通じて、経営層によって定義された復旧目標に対し、現場のスタッフも納得感をもって対応できるようになりました。
オールハザード型のBCPの意義
ニュートン・コンサルティングの支援により、日本精工は「オールハザード型のBCP」を導入しました。これは、さまざまなリスクに対応する力を高め、将来起こりうる未曾有の事態にも迅速に対応できるようにするもので、企業の安定的な運営に寄与します。この新たなアプローチにより、経営層から現場に至るまで、皆が共通の理解を持ち、事業の持続性を高めることが可能になるのです。
まとめ
日本精工がBCPを改善する取り組みは、今後の企業にとって重要な指針となるでしょう。ニュートン・コンサルティングの専門的な支援を受け、現場と経営の乖離を無くし、共通の理解と納得感を促進させることは、他の企業にとっても参考になります。このプロジェクトは、リスクマネジメントの新しいスタンダードを提示するものといえるでしょう。