中小企業のセキュリティ対策の現状とその課題
近年、サイバー攻撃が激増しており、企業のサプライチェーンセキュリティに対する意識が高まっています。この状況の中で、オンライン比較サービス「ミツモア」を運営する株式会社ミツモアが、442社を対象に行った「サプライチェーンセキュリティに関する実態調査」の結果が注目されています。調査によると、大企業と中小企業の間には、大きな「セキュリティ格差」が存在することが明らかになりました。特に大企業の約7割がセキュリティの不備を理由に取引先を見直しているのに対して、中小企業はその影響を感じにくい状態にあります。
対岸の火事が引き起こす認識の格差
調査によれば、中小企業の81%はサイバー攻撃について知っていると回答していますが、具体的な内容まで把握しているのはわずか29.4%という事実があります。このデータは、中小企業がまだ「対岸の火事」のように感じていることを示しています。サイバー攻撃に対する危機感は大企業の56.6%に対し、中小企業は30.4%にとどまっています。この大きな差は、認識のずれに起因するものであり、実際の危機感を持っている企業は少なくありませんが、行動に移すには至っていないケースが多いようです。
行動を制約する三重苦
中小企業がセキュリティ対策を講じられない理由には、「予算」、「交渉」、「知識」の三つの壁が存在します。約31.3%の企業が予算不足を問題視し、8.1%が契約解除が恐くて交渉に踏み出せないと答えました。また、11.4%の中小企業は具体的に何をすればいいのか分からないと感じています。この三重苦は、対策を進める上での大きな障壁となっており、特に「何をすべきかわからない」という問題が709%に達することを考えると、緊急性が増していると言えます。
大企業の思いと中小企業の認識
大企業側からは、セキュリティ対策に取り組むよう中小企業に呼びかける声が聞かれます。しかし、実際には取引停止などの厳しい選択を余儀なくされているとの報告も多く、双方の間には「認識の断絶」が生まれているのが現状です。例えば、大企業の66.8%がセキュリティの問題で「契約の見直し」を行ったと回答しているのに対し、中小企業がセキュリティを理由に取引が終了したと認識しているのはわずか4.3%です。このズレが、実際のビジネス関係にも影響を与えていることは否めません。
中小企業の施策実施率の現状
調査では、セキュリティ対策を「実施している」と答えた中小企業は27.8%と、大企業の55.1%と比べると約半分にとどまります。この結果からも、中小企業が自らのリスクを十分に理解し、適切に対策を講じることができていない実態が明らかになっています。加えて、少なくとも39.8%の中小企業が「危機感を感じているが、対応ができていない」と述べており、これは長引く不安要素となっています。
解決に向けた第一歩。
このような現状の中で、中小企業が採るべきアクションについて見ていく必要があります。まずは「現状把握」を行い、自社のリスクを理解することが重要です。特に「中小企業のためのサイバー攻撃リスク診断」といった容易に利用できるツールを使って、必要な対策を把握するのが効果的です。また、低コストで開始できる対策から始めることも大切です。
具体的な対策は何か?
1.
パスワード管理の見直し:複雑なパスワードを使用し、使い回しを避けましょう。
2.
従業員へのセキュリティ教育:不審メールの見分け方など、社員教育を行うことが重要です。
3.
データバックアップの確認:重要データの定期的なバックアップを行う。
これらの施策を通じて、徐々にでもセキュリティ対策を講じることが求められます。
今後の展望
政府も後押しする「IT導入補助金」などを活用し、コスト面の負担を軽減しつつ、計画的にセキュリティ対策を進めることが必要です。また、2023年には経済産業省が新たなサプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度の導入を計画していることも、企業としての生存戦略の一部と言えるでしょう。
中小企業が将来にわたり経済活動を続けていくためには、このようなセキュリティの問題に真摯に向き合い、必要なアクションを講じることが急務です。従業員や顧客を守るためにも、サイバーセキュリティ対策は避けて通れない道です。