遺伝子検査による犬の疾患リスク軽減
犬における遺伝性疾患のリスクを軽減するため、アニコム パフェ株式会社とアニコム先進医療研究所が麻布大学と共同で行った大規模な研究が注目を集めています。この研究では、特にミニチュア・ダックスフンドに見られる進行性網膜萎縮症(PRA)に関連する遺伝子RPGRIP1の挿入変異の影響を解析しました。
遺伝子検査の普及による影響
この研究によれば、遺伝子検査の普及後、PRAのリスクを有する犬の割合が約70%も減少しました。具体的には、2014年から2022年の間に生まれた30,800頭のミニチュア・ダックスフンドの遺伝子データを分析した結果、ホモ接合体の個体数が11.1%から3.4%に激減したのです。この変化は、ブリーダーやペットショップが遺伝子検査の結果に基づいて繁殖を行ったことによります。
遺伝的多様性も維持
また、遺伝子検査の普及が遺伝的多様性にどのように影響を与えたかも検証されました。SNPアレイという手法を用いた結果、近交係数(FROH値)やゲノム全体の構造に大きな変化は見られず、遺伝的多様性を損なうことなく繁殖が適切に行われていたことが確認されました。これにより、PRAリスクアレルの減少と同時に遺伝子の多様性も保たれたことが分かります。
PRA発症との関連性
さらに、保険請求データを用いて、PRAの発症との関連性も明らかにされました。378頭のミニチュア・ダックスフンドの遺伝子型と保険データを照合した結果、PRAを発症した犬の57.1%がリスク変異のホモ接合体であることがわかりました。PRAの初請求年齢は約11歳前後がピークであることが確認され、今後は遺伝子リスクの低下により、PRAの発症が減少していくことが期待されます。
未来への展望
この研究結果は、今後のミニチュア・ダックスフンドの健康や生活の質(QOL)向上に寄与することが期待されています。選択的繁殖により、RPGRIP1のリスクアレルが大きく減少した世代の犬が成長することで、2030年代にはPRAが減少する見込みです。
しかし、影響を受ける遺伝子はRPGRIP1だけではなく、MAP9という他の遺伝子においてもPRAとの関連性が知られているため、さらなる研究と慎重な繁殖が求められます。
アニコムグループは、今後も獣医療の発展と動物福祉の向上に向けて、様々な研究を推進していく考えです。犬たちにとってより健康な未来を築くために、今後も継続して革新と改善に努めていきます。