普連土学園中学校舎、DOCOMOMO選定記念プレート贈呈式を開催
2025年6月2日、東京・港区に位置する普連土学園中学校にて、建築物の保存継承を目的とする国際機関DOCOMOMO Japanから「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」100選に認定されたことを祝う記念プレート贈呈式が行われました。この学園は、1968年に著名な建築家・大江宏氏の設計に基づいて建てられた中学校舎を有し、教育理念を体現しています。また、2017年には東京都選定歴史的建造物にも指定されています。
普連土学園中学校舎は、学校の教育理念を表現するために様々な工夫が凝らされています。敷地の地形を活かした配置と、2階から4階までの変化に富んだ階数は、一般的な学校建築の枠を超えた魅力を持っています。大江氏は、合理性に重きを置く近代建築の枠組みを超え、「気配」や「佇まい」といった形には見えない概念を追求して、新たな建築様式を模索していました。また、教室棟の外観は5本の円柱が特徴的で、その上には美しい宝形屋根が架かっています。
贈呈式には、普連土学園の理事長・山本將人氏や、DOCOMOMO Japanの事務局長である玄田悠大氏をはじめとする関係者が参加しました。参加者からは、「大江宏と学園の思想が調和した素晴らしい建物だ」といった感想が寄せられ、まさにこの場所への愛情が感じられました。
贈呈式の後には、見学会も行われ、普連土学園の中学校舎やその特徴的な空間に多くの参加者が興味深く触れることができました。参加者は、この学校がもたらす「語らいの場」を通じて、学生たちが自然に集まり、心を通わせることができる環境を評価しました。また、廊下の薄暗い部分と窓からの光の絶妙なコントラストに感銘を受けた方も多く、古都奈良の寺院を想起させるような美しさがあったと語られました。
普連土学園の設立にまで遡ると、1887年にフィラデルフィアのキリスト教フレンド派婦人伝道会によって設立され、キリスト教に基づいた人間形成を教育の基盤としてきました。「普連土」という校名には、世界の土地に広がるようにとの願いが込められています。校舎自体だけでなく、学園の運営においても、生徒同士の互いに個性を尊重し合うコミュニティが大切にされています。
このように、普連土学園中学校舎はその歴史的価値だけでなく、教育の場としての理想を形にした建築物として、今後も多くの人々に愛され続けることでしょう。年々増加する建築物の選定が、後世に向けた文化遺産の保存と継承につながることを期待したいです。