終活の現状を探る
近年、終活に対する関心が高まっています。特に50代以上の世代では、自らの生き方を見直す機会として位置づけられるようになりました。2025年に実施された「終活に関する意識・実態調査」では、全国の男女2,016名を対象に実施され、興味深い結果が浮き彫りになりました。
終活を始めている人の増加
調査によると、終活を「すでに始めている」と答えたのは44%にのぼり、過去の調査から安定した割合を示しています。この層は幸福度や生活満足度が高く、自らの未来に対して前向きな姿勢を持っていることがわかります。反対に、「終活は必要ない」と答えた人は22.6%と大きな変動は見られませんでした。
このデータからも、終活が特別な活動ではなくなってきていることが伺えます。今や終活は、人生をより豊かにするための新たな生活習慣として出現しており、自分の生き方や価値観を見つめ直す重要な機会となっています。
手放す終活が注目される理由
調査で最も多く行われた終活は「年賀状じまい」で38.4%と、身の回りの物事を整理する動きが強く出ています。この“手放す終活”は、ますます注目されています。また、金融口座や商品の整理、家具の整理など、終活の認識が浸透しています。特に、「お墓の整理・墓じまい」の実施率も上昇し、従来の準備型終活から脱却しつつあることがわかります。
終活にかかる費用とは
終活にかかる平均費用は約503万円。これは、さまざまな生活の見直しや、未来への準備を含んだ金額です。この中でも特に「資産運用を始める」コストが高く、続いて自宅のリフォームや不動産の整理にも資金が流れています。これからの生活を見据えた投資が求められる時代が到来していることを示しています。
また、生前に残したい金額は約2,451万円と、多くの人が経済的な安心感を求めていることがわかります。今後、終活はただの準備にとどまらず、生活の質を高める手段として捉えられることが期待されます。
終活の進化と未来
ここに来て、終活の意識と行動との乖離が顕著になっています。必要性を感じながらも、実際に取り組んでいない人が多いのが現実です。しかし、終活に取り組んだ人々は、生活満足度が高いという事実は無視できません。生活の質を向上させる手段として活用することで、幸福感を高めることが可能です。
専門家の梅津順江氏は、「終活は『どう生きるか』に焦点を当て直す動きになっている」と述べています。このように、終活はもはや単なる死に向けた準備ではなく、生きるための選択肢として浸透しています。
結論として、終活は今後さらに多様化し、本来の目的である「より良い人生を過ごすための手法」として進化し続けることでしょう。生活満足度の向上を目指す人々にとって、終活は必須の活動として位置づけられると考えられます。