AI技術で水道管の漏水探知を効率化。
2024年11月22日、横浜市と東京の科学企業wavelogy株式会社が提携し、水道管の漏水をAIで探知する実証プロジェクトをスタートさせました。この取り組みは、横浜市内の水道管の漏水調査を効率化し、少子化や人口減少による技術者不足問題の解決を目指しています。
地域の現状と背景
現在、日本の水道インフラは、高度経済成長期に整備されたもので、多くのシステムが老朽化しています。年に約2万件以上の漏水や破損事故が発生するなど、水道インフラの維持管理が深刻な問題となっています。また、専門技術を要する漏水調査の技術者が不足し、技能の継承も難しくなってきています。これは、特に人口減少が続く日本の地方都市において顕著です。
実証プロジェクトの内容
この実証研究では、横浜市水道局が直接行う漏水調査のエリアにおいて、wavelogyのAI漏水検知ツール「SuiDo」が使用されます。具体的には、既存の漏水調査手法を変更することなく、音聴棒や漏水探知機に新たなデータ収集装置を装着し、音データや位置情報を収集します。これにより、漏水音データのAIによる解析が行われ、技術者の負担を軽減させる試みとなっています。
プロジェクトの目的
本プロジェクトの主要な目的は、漏水調査の効率化です。例えば、収集された音データをAIが解析することで、技術者不足による調査の遅延を解消し、迅速な対応が可能になります。また、専門の漏水調査技術者がAI診断の結果を分析することで、診断の精度を向上させる役割も果たします。技術者による判断とAIの分析結果を統合して可視化するプラットフォームも構築予定で、次世代技術者の育成を支援する取り組みとなっています。
期待される成果
この実証の結果は、水道管の漏水調査技術の大幅な効率化と、人員確保に寄与することが期待されています。2028年度にはこの技術の実用化が目指されており、wavelogy株式会社は「音で新たな産業を創造する」をテーマに、研究を続けていく意向を示しています。水道局との連携による新たな技術の確立は、今後の水道インフラの持続的な発展にも寄与することになるでしょう。
結論
この画期的なプロジェクトは、AIの力を活用することで水道管の漏水調査を効率的に行い、人手不足の問題を解決する新たな試みです。横浜市とwavelogy株式会社の共同作業が実を結び、水道インフラにおける新たな未来を切り拓くことに期待が寄せられています。