被爆80年を迎える2025年 ─ 継がれる想い
2025年は、広島と長崎にとって特別な年です。被爆から80年が経過するこの年、私たちは歴史の重みを感じながら、新たなプロジェクトによって被爆者の想いを継承する取り組みが始まります。テレビ新広島とテレビ長崎が共同で発足させたこのプロジェクトは、「つたえるつなげる」をテーマにしています。このテーマの下、被爆者の声を次世代に届け、多くの人々にその価値を理解してもらうことを目指しています。
被爆者の平均年齢は85歳
現在、被爆者の平均年齢は85歳を超えています。「10年後には我々はいない」という言葉が、彼らの心の内を如実に表しています。この想いをどのようにして次世代へと繋げていくのか、それが私たち放送局の重要な役割と認識しています。2025年までの数年間にわたって、様々な形で被爆者の証言や歴史を発信し、未来を担う世代に伝えていくことが急務です。
俳優たちによるインタビュー企画
この取り組みの一環として、テレビ長崎と協力し、若い世代に向けたインタビュー企画を実施します。俳優の上白石萌音さんと水上恒司さんが被爆者にインタビューを行い、彼らの貴重な体験を引き出します。これにより、戦争の影響を受けた当時の実情や、平和の大切さを直接伝える機会を創出します。初回放送は、1月9日(木)の『TSSライク!』で予定されています。
手形を通じて思いを形に
さらに、平和の象徴であるハトを手形で表現し、各人の想いを文字として残す「手形プロジェクト」が展開されます。このプロジェクトは、参加者一人一人の思いを集め、最終的にはアートオブジェクトに昇華させることで、平和のメッセージを訴えていく試みです。SNSを通じて、国内外からの参加も促し、平和の輪を広げていくことを目指します。
ドキュメンタリーによる継承
テレビ新広島は、開局3年後の1978年から毎年8月6日にドキュメンタリー番組を制作してきました。数十年にわたり、被爆者の活動や歴史の真実を掘り下げ、視聴者に届けてきた取り組みは、今回の80年を迎えるにあたって、年間を通してこれまでの放送をアンコールし、さらなる周知を図ります。多くの人々に、改めて被爆の歴史を思い出してもらう機会を提供します。
世界に向けた発信
また、被爆に関するニュースや特集番組には英語字幕を追加し、国際的に発信する「Hiroshima Peace Program TSS アーカイブプロジェクト」が進行中です。この取り組みでは、国内外の大学生との共同作業を通じて、被爆の実相について学び、まとめる試みが行われます。2024年にはアイダホ大学の学生が日本を訪問し、被爆の歴史を学ぶ機会が設けられます。
終わりに
このような多岐にわたる取り組みを通じて、被爆の歴史とその想いを一つでも多くの人に伝え、繋げていくことが求められています。2025年の被爆80年に向けて、私たちが何を学び、次世代にどのように受け渡していくのかが今後の課題です。歴史を知ることが、未来の平和に繋がることを信じて、私たちの挑戦が始まります。