アジア太平洋地域の物流市場分析「Waypoint 2026」
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドが最近発表したレポート「Waypoint 2026」は、アジア太平洋地域(APAC)の物流施設市場に関する詳細な分析を提供しています。このレポートは、複雑化する市場環境の中で堅牢なサプライチェーンを構築するための戦略を考えるうえで必要な洞察を示しています。
テナントに有利な市場環境の変化
アジア太平洋地域は依然としてテナントに優位な市場です。具体的には、47%の市場がテナントに有利な状況にあるとされていますが、地域ごとに需給バランスは異なり、そのバラツキは今後も続く見込みです。オーストラリア、日本、シンガポールなどの特定の市場では供給制約が影響し、競争が激化しています。これらの地域では、開発パイプラインが限られているため、空室率は急激に低下することが予想されています。今後3年間でAPAC市場の43%が空室率の低下を見込んでいることから、市場環境はより厳しくなっていくでしょう。
一方で、インドや中国の一部地域では新規供給が豊富なため、テナントは高い柔軟性を保っています。このように地域差があるため、オーナーはそれぞれの市場に対応した戦略を採用することが重要です。
高成長セクターとの関連
特にEコマース、製造業、ハイテク、自動車産業などの成長が著しいセクターでは、オーナーが資産を適応させることが求められています。また、建物が持つ電力需要や自動化への対応能力も、今後重要なポイントにになります。クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドのデニス・ヨー氏は、各市場が異なる成長段階にあるとし、特に日本やオーストラリアでの供給制約が競争を激化させていると指摘しています。
Eコマース市場の影響
アジア太平洋地域の需要は、Eコマースと製造業によって支えられ続けています。特に東南アジアでは、地域化戦略や生産拠点の移転が進んでおり、ベトナムやインドネシア、タイではテナントの活動が活発化しています。また、北アジア全域ではハイテクおよび自動車セクターが重要な需要源として存在しています。このように、業務や技術的ニーズの進化に伴い、立地条件の良い現代的な物流施設の重要性が高まっています。
世界的な視点からの市場予測
グローバルな観点で見ると、「Waypoint 2026」では、テナントに有利な市場環境が2026年には52%から2029年には33%に減少すると予測しています。同時に、オーナーに有利な市場は26%から39%に増加する見込みです。このことは市場バランスの大きな変化を示唆しています。現在、世界の物流賃料は2020年に比べて36%上昇しており、今後3年間で54%の市場で更なる賃料上昇が見込まれています。
まとめと今後の展望
総じて、アジア太平洋地域の市場は複雑さが増しており、それに伴ってテナントの戦略やオーナーのポジショニングがますます重要になっています。サプライチェーンの多様化が進む中、高品質で戦略的に立地された資産への需要は引き続き強まるでしょう。テクノロジーや自動化が進む中、企業は自身の不動産戦略にレジリエンス(回復力)を組み込むことが求められています。
レポートの詳細は、クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドの公式ウェブサイトからダウンロード可能です。