株式会社ScalarがリリースしたScalarDB 3.17の新機能
株式会社Scalarが、スキーマ変更を必要なく既存データベースを活用できる最新版のScalarDB 3.17を発表しました。企業におけるデータ活用の要件が高まる中、これまでの技術では旧システムの改修やデータ移行に多くの手間とコストを要していましたが、ScalarDB 3.17はその課題に挑む画期的な機能を提供します。
新機能の特徴
1. トランザクションメタデータの分離
このバージョンの注目すべき点は、トランザクションメタデータをアプリケーションデータと独立して管理できる仕組みを導入したことです。従来、メタデータは同一のテーブル空間に紐づけられていたため、既存データベースのスキーマ変更が避けられませんでした。しかし、ScalarDB 3.17ではメタデータを別領域に配置できるため、スムーズな移行を実現します。また、システム資産を維持しつつ、段階的にアプリケーションに移行できる柔軟性が生まれ、コストやリスクの大幅な減少が期待されます。
2. サポートされるデータソースの拡充
新たに、NewSQL製品(TiDB、AlloyDB)や主要クラウドのオブジェクトストレージ(Amazon S3、Azure Blob Storage、Google Cloud Storage)を追加でサポート。これにより、異なるプラットフォーム間での一貫したデータ管理が可能になり、企業は特定のベンダーに依存しないデータアーキテクチャを実現できます。データの整合性を保ちながら、OLTPデータベースのトランザクションデータをオブジェクトストレージの履歴データと扱うことが可能となりました。
3. Red Hat OpenShiftのサポート
今バージョンではRed Hat OpenShiftでも利用可能となり、オンプレミスの環境でもVectorDBのパフォーマンスを享受されるようになりました。この柔軟性により、企業はクラウド及びオンプレミスの両方でのデータ管理を一元化でき、インフラ戦略に応じた効率的な運用が実現します。
さらなる機能強化
RBACにも対応
新たにロールレベルでのアクセス管理が可能に。これにより複数のデータベース環境においても一元的に管理でき、ガバナンスの強化と運用コストの削減が同時に達成されます。
ネットワーク性能の改善
トランザクション性能向上のため、複数オペレーションをまとめて送信できる「バッチ機能」が追加。また、トランザクションのBEGINやCOMMITをピギーバックする機能が導入され、ネットワークの往復回数を大幅に削減し、より安定した処理を実現しました。
SQL拡張
さらに、SQLエンジンに集約処理(GROUP BY)をサポート。これにより、アプリケーション側での処理負担を軽減し、クライアント側での開発の簡素化が期待されます。継続して進化するScalarDBは、企業のデータ処理基盤として、より多様なニーズに対応していくことでしょう。
まとめ
ScalarDB 3.17はまさに既存のデータベースの制約を打破し、トランザクションデータの管理において新たな道を切り開きました。企業が大量のデータをより効率的に利用し、価値を生み出すための基本的な土台を提供し、データマネジメントの未来を創っていくでしょう。今後もさらなる機能強化に期待が寄せられます。