岡山大学の国際的な取り組み
2025年7月21日、岡山大学の那須保友学長は国連が主催する「高等教育サステナビリティ・イニシアティブ(HESI)グローバルフォーラム2025」に出席し、日本から唯一の招待スピーカーとして、持続可能な開発を支える高等教育の役割について論じました。このフォーラムは、持続可能な開発に関する国連の高レベル政治フォーラムの一環として行われ、300名近くの参加者が集まりました。
フォーラムのテーマと内容
フォーラムの中心的なテーマは、「持続可能な開発における科学的・包摂的で公平な解決策により不平等を解消すること」であり、政策立案者や大学関係者が集まり、それぞれの立場から持続可能性の確保に取り組む重要性が討論されました。
那須学長は、「連携と社会参画:高等教育が果たすべき役割の強化」という分科会に参加し、高等教育機関が地域社会と協力し、持続可能な開発にどのように貢献できるかを提言しました。特に、「大学は知識の集積場であるシンクタンクにとどまらず、行動を起こすアクションタンクであるべきだ」と強調し、岡山大学の具体的な取り組みについて紹介しました。
多様な取り組みの紹介
那須学長が紹介した取り組みの一つが、「岡山ESDプロジェクト」です。このプロジェクトでは、地域の公民館や400以上の団体と連携し、災害教育や生物多様性、持続可能な食に関する教育を提供しており、2016年にはユネスコESD賞、2017年にはジャパンSDGsアワード特別賞を受賞するなど、国際的に評価されています。
また、地域と大学をつなぐ「グローバルエンゲージメントセンター」は、SDGs教育や研究を促進するために設立され、各部局でSDGsに整合した活動を組織的に支援しています。さらに、若者の積極的な参画を促進するために、ユネスコチェア公認のユースアンバサダー制度を創設し、国際舞台で若者の声を届ける機会を提供しています。
ジェンダー平等と若者の育成
国連貿易開発会議(UNCTAD)との共同プログラム、「若手女性科学者プログラム」では、アフリカやASEAN、中南米の若手女性研究者を日本に招待し、実践的な研究環境を提供しています。このプログラムの立ち上げは、途上国におけるSTI分野のジェンダーギャップ解消に向けた重要な取り組みとして評価されています。
フォーラム参加後の応答
セッション後、参加者から「限られた資源やネットワークでの行動開始の方法」について質疑があり、那須学長は「小さく始めて、続けることが重要」と返答。多くの参加者がこのメッセージに共感を示しました。
新たな国際的枠組みの開始
フォーラムではHESIパートナーシップ・フレームワークの立ち上げも発表され、教育、研究、政策の各分野での協力を促進する国際的な協働の枠組みが始動しました。岡山大学は今後も地域との連携を深めながら、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めていく方針です。これからの岡山大学の活動に期待が寄せられます。