スペースシフトとWHERE社、震災時の被害推定AI実証実験を開始

スペースシフトとWHERE社が結集したAI技術

株式会社スペースシフトと株式会社WHEREが協力し、国土交通省が進めるProject PLATEAUを活用した大規模震災時の被害推定に関する実証実験を始めました。この実証実験は、災害が発生した際の迅速な対応を支援することを目的としています。

災害対策への急務

日本は地震や豪雨など、自然災害の発生が頻繁な国です。そのため、特に大規模な震災が起きた直後の初動対応が求められています。しかし、信頼性のある情報基盤には限界があり、被害の把握や支援活動がペースダウンする要因となっています。これに対して、スペースシフトは、衛星データと3D都市モデルを活用して、災害直後における被害状況を迅速に可視化し、行政や民間企業による復旧活動を支援する新たなアプローチを模索しています。

プロジェクトの背景

歴史的に、日本では大規模な災害が多く発生してきました。最近では能登半島大震災が記憶に新しいところです。災害直後の被害状況を把握するためには、迅速かつ正確なデータが不可欠です。WHERE社の不動産関連情報基盤を活用しながら、両社は新しいシステムを構築することを目指しています。

実証実験の概要

本年度中に、大型及び小型のSAR衛星を用いたデータシステムを開発し、実証エリアとして能登半島地震の被害を受けた金沢市を選定しました。この実証では、3D都市モデルを基に建物単位での被害度推定及び道路の通行可否の表示を行います。また、この情報はユーザーへのヒアリングを通じて精査されます。

今後の展開

実証実験を通じて集められるデータは、最終的に被災自治体に無償で提供される予定です。これにより、民間企業も採算化を図りながら、被災直後の被害状況の可視化が推進されることを期待しています。2026年には全国に管理物件を持つ大手企業への展開も見込まれています。

技術開発への可能性

これまで両社は、衛星データ及び都市情報を用いた社会課題の解決を目指してきました。実際に、WHERE社は衛星データ活用に関する賞でも受賞しており、その技術は高く評価されています。

スペースシフトの公式サイトによると、彼らの理念は「地球上のあらゆる変化を認識可能にする」というものです。これは防災や環境保全など、持続可能な社会を目指す強い信念から来ています。

一方、WHERE社はJAXA発のスタートアップ企業として、宇宙技術の研究からAIによる不動産市場の変革を目指しています。両社の連携により、今後もさらなる技術発展が期待されます。

私たちの社会が直面する様々な課題に対して、AIと衛星データがどう進化し、被害を最小限に抑える手助けをするのか、大いに注目されます。