ゼオン、フィルム増設
2025-04-25 13:35:31

日本ゼオン、液晶テレビ用フィルムの新ライン追加で市場拡大を目指す

日本ゼオン株式会社は、富山県氷見市の氷見二上工場において、大画面液晶テレビ向けの位相差フィルムの新しい生産ラインを増設することを発表しました。この取り組みは、急成長する大画面テレビ市場に対応し、同時に敦賀工場と連携した体制を強化することで、ビジネス・コンティニュイティ・プラン(BCP)の向上を図るものです。

この新ラインの増設により、ゼオンの液晶テレビ用位相差フィルムの生産能力は、約20%増加し、年間で264,000万㎡に達する見込みです。新しい生産ラインは2025年12月に着工し、2027年の夏頃には量産を開始する予定となっています。

ゼオンが製造する光学フィルム、通称ゼオノアフィルムは、独自のポリマー設計技術を用いて開発された熱可塑性プラスチック、シクロオレフィンポリマー(COP)を主原料としています。このフィルムは、世界初の溶融押出法にて製造されており、高い光学特性と優れた寸法安定性を備えています。現在、ゼオノアフィルムの需要は、視野角補償や反射防止機能を提供する位相差フィルム用途を中心に拡大してきています。

ゼオンは2020年以降、液晶パネルの大型化に対応するため、敦賀工場において2,500mm幅のフィルム生産に着手しており、現在は同幅の生産能力を有しています。今回の新たな投資は、さらなる大型化ニーズに応え、最大130インチに対応可能な3,000mm幅フィルムを生産するためのものです。

氷見二上工場では、新しい建屋が建設され、年間で4,500万㎡の生産能力を持つ設備が導入されます。この結果、2,500mm幅以上のフィルム生産能力は14,500万㎡となり、テレビ用の位相差フィルム全体の生産能力は264,000万㎡に拡大します。新ラインの操業開始は2027年夏を予定しており、人員の確保も進められる見込みです。

ゼオンは中期経営計画「STAGE30」の中で、COPを重要な既存事業の一つと位置付けており、今後も市場のニーズを捉え、社会の期待に応じて、より良い製品を提供していく方針です。これにより、人々の快適な生活に貢献することが期待されています。

シクロオレフィンポリマー(COP)は、ゼオンが独自に開発した特性を持つ透明性の高い熱可塑性プラスチックで、低吸水性や低不純物、低アウトガスといった特長があります。これにより、光学や医療、半導体搬送容器など多様な用途で活用されています。さらに、2025年9月には高岡工場でリサイクルプラントが稼働開始するとともに、2028年には山口県周南市に新プラントの設置が計画されています。これらの取り組みを通じて、ゼオノアフィルムは更なる市場拡大を目指し、より持続可能な製品作りへと邁進しています。


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