天羽明惠が届けるリートの深い世界：シューマン特集アルバムの魅力

新たなリートの探求

2025年にリリースされるアルバム「女の愛と生涯＆レーナウ歌曲集」は、ソプラノ歌手・天羽明惠による待望のソロアルバム第2弾です。この作品は、彼女がリート歌手としての新たな高みを目指して作られた傑作であり、ドイツ歌曲の深い森へと聴き手を誘います。

シューマンの深遠な情熱

アルバムには、ローベルト・シューマンの名曲《女の愛と生涯》とその後に書かれた「レーナウ歌曲集」が収録されています。この2つの作品は、異なる時代に書かれたものですが、愛と人生の影の対比を描き出す“対の自画像”として捉えることができます。シューマンが描く理想と現実の狭間には、彼自身の葛藤が色濃く反映されています。

《女の愛と生涯》のテーマ

この作品は、理想の夫像を自らに課したシューマンが、彼の最愛の妻クラーラへの思いを込めたものです。シューマンは当時、経済的困窮の中で苦しみながらも、クラーラの存在に救われたいという願望を強く持っていました。この作品を通じて、聴衆は彼の内面の葛藤を感じ取ることができるでしょう。

愛の終焉を描く「レーナウ歌曲集」

一方、「レーナウ歌曲集」は、《女の愛と生涯》から約10年後に作曲されたもので、愛の苦悩とその終焉をテーマにしています。シューマン自身の挫折が彼の詩に託されており、その切なさが聴く者の心を打つことでしょう。特に、この歌曲集には彼の情熱や失意が色濃く反映されており、聴くたびに新たな発見があるのです。

繊細なピアノ伴奏

アルバムのピアノ伴奏を担当するのは、ノルウェー出身のピアニスト、ジークムント・イェルセットです。彼は繊細で深みのある演奏スタイルで知られ、天羽の歌声と見事に調和を見せています。二人の息はピッタリで、互いに寄り添いながら作品にさらなる奥行きを与えています。

アルバム情報

この作品は、2025年10月29日に発売され、品番AACL-2002（CD）として登場します。国内盤では歌詞対訳が付属し、価格は3,300円（税込）となっています。公式なウェブサイトでの購入が可能です。

コンサートの情報

アルバムのリリースを記念して、天羽明惠は「詩うたが歌となるときVol.5」を開催します。このコンサートは2025年11月1日（土）に東京オペラシティリサイタルホールで行われ、ジークムント・イェルセットがピアニストとして共演します。シューマン作品を通じて、彼女の音楽の世界に触れられる貴重な機会です。

天羽明惠のプロフィール

天羽明惠は、リリックな声で聴衆を魅了する日本のソプラノ歌手です。彼女は1995年に五島記念文化賞オペラ新人賞を受賞後、数々の音楽祭やオペラでその才能を発揮してきました。主にドイツに拠点を置き、ヨーロッパ各地での演奏活動と共に、若手歌手を支援する initiatives を行うなど、オペラの普及にも積極的です。